※NHK

水資源への影響の懸念から静岡県が着工を認めていないリニア中央新幹線について国の有識者会議は、対策によって、大井川の流域への影響は抑えられるなどとした、中間とりまとめの素案を示しました。これに対して静岡県は、まだ疑問点もあるとして慎重な議論を求めていて、着工の行方はなお不透明です。

リニア中央新幹線の静岡県内の工事をめぐっては、県が大井川をはじめとする水資源への影響の懸念から着工を認めておらず、目標とする2027年の開業は難しくなっています。

建設主体のJR東海と県の協議が難航する中、国土交通省は、去年4月から水資源やトンネル工学などの有識者による会議で議論を進め、28日、中間取りまとめの素案を示しました。

それによりますと、焦点となっていた南アルプスの地下に掘るトンネル内に地下水が湧き出すことで、大井川の水量が減るとした静岡県の懸念に対しては、水の通り道となる別のトンネルをつくり、すべての湧き水を川に戻すなど対策をとれば、中下流域の川の水量は維持され、地下水への影響も極めて少ないことが科学的・工学的にも確認されたとしています。

今後有識者会議は、トンネル内に突発的に湧き水が発生するなど、不測の事態に備えた対策についてさらに議論を続け、会議の見解を取りまとめたい考えです。

これに対して静岡県は、まだ疑問点もあるとして慎重な議論を求めていて、リニア中央新幹線の着工の行方はなお不透明です。

リニア中央新幹線 静岡県内の工事めぐる経緯は

リニア中央新幹線の静岡県内の工事をめぐっては、県とJR東海の協議が難航し、目標である2027年の開業が難しくなっています。

静岡県は、大井川の地下で行われるトンネル工事に際してのJR東海の環境保全策を検証する必要があるとして、2018年11月、有識者を交えた専門部会を設置しました。

この部会で静岡県は、工事によってトンネル内に湧き出す水を川に戻す方法の検証や、地下水に影響が出た場合の具体的な補償などを示すようJR側に説明を求めましたが、協議は進展しませんでした。

国土交通省は、リニアは国民生活や経済活動に大きなインパクトをもたらす重要な事業で早期の実現が望まれる一方、大井川の水資源などへの影響の回避も両立する必要があるとして調整に乗り出します。

国土交通省は、課題の解決に向けて去年4月に有識者会議を設置。

大井川の地下で行われるトンネル工事で懸念される川の水量の減少を防ぐ対策や中下流域の地下水への影響を中心に科学的・工学的な議論を進めてきました。

こうした中、去年6月にはJR東海の金子社長が静岡県の川勝知事と初めて会談し、本格的な工事に向けて、早期に準備作業を開始することへの理解を求めました。

しかし川勝知事は、「準備作業は、本体工事と一体的で認められない」と述べ、目標である2027年の開業が難しくなっています。

以下ソース先で

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210228/K10012890481_2102281941_2102281947_01_03.jpg
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210228/K10012890481_2102281936_2102281947_01_04.jpg

2021年2月28日 19時47分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210228/k10012890481000.html