塩入彩 2021年3月4日 11時49分

 妊娠中でも、安心しておすしを楽しみたい――。そんな妊婦さんの願いを、街のおすし屋さんがかなえた。ネタに火を通した「加熱寿司(ずし)」だ。コロナ禍で苦境にあえぐ老舗にとっても、期待の一品となった。

 タチウオ、イカ、シャコ、穴子。一見、よくあるすしセットのようだが、よく見るとどのネタも生ではない。東京都江東区にある創業70年の老舗「やよい鮨(ずし)」が、1月下旬から販売を始めた「加熱寿司」(税込み1900円、テイクアウト1870円)だ。

 きっかけは、昨年12月末に台東区在住の会社員、渡辺愛さん(30)が発したツイートだった。「【妊婦さんもOK!お寿司(すし)セット】があったら、買いませんか?」。第1子を妊娠中の渡辺さんは、もともと大のおすし好き。しかし、一般的に免疫力が下がって細菌などに感染しやすい妊娠中は、生魚はできるだけ控えるよう言われている。

 それでも、「ダメと言われるほど食べたくなる」と渡辺さん。他のすし店で加熱されたネタを選んで食事をしたこともあったが、「火が通ったネタは少ないし、選ぶのも大変。本当に中まで火が通っているかも不安で、安心して食事はできなかった」。妊娠中にたまったすしへの欲求が、ツイートにつながった。





相談にのった3代目が動き出す

 反響は大きく、すぐに4千以上の「いいね」がついた。そこで、渡辺さんの友人の浅田友香さん(29)が、常連として通っていた「やよい鮨」の3代目・星名清明さん(54)に相談し、実現に向けて動き始めた。

 「妊婦さんがそんなにすしを欲しているとは知らず、驚いた」と星名さん。普段は生で使う食材に火を通すとボロボロと崩れたり、握りづらくなったりするため、蒸したり、湯引きしたりして工夫を重ねた。
     ===== 後略 =====
全文は下記URLで
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