イタリアの南東部に位置するプーリア州。アドリア海に面し、その歴史ある町並みや豊かな自然は観光地としても知られ、イタリア国内1位のオリーブの生産地でもある。そのプーリアで「黒ヒョウ」の目撃情報が相次ぎ、住民たちを不安に陥れている。

プーリア州でヒョウの捕獲活動があったのは初めてではない。2020年1月にも州北部の都市サン・セベロ近郊でヒョウが目撃され、関係者は地元のマフィアのペットが逃げた可能性があるとして捜索していた。だが、それらしき動物は捕獲されなかった。

その後、11月中旬に州東部オストゥーニの田舎道に新たに出没し、大きなネコ科動物の足跡や動物の死骸が見つかっていた。そして、今年2月に入ってからは、またしてもプーリア州で複数の目撃情報が寄せられている。

さすがにこれだけ多くの目撃者がいるのでは、放っておくわけにもいかない。

地域の動物園に勤める獣医や専門家も捜査に協力し、映像や写真、足跡、糞、食痕などを分析し、黒ヒョウの可能性が高いと判断した。餌を探して、速いペースで移動していると専門家は警告する。

2月中旬、州都バーリ近郊の都市の市長は、郊外でのジョギングやサイクリングなどのスポーツを禁止する発令を出した。また動物が警戒して興奮しないよう、農作業なども控え、家畜やペットは目の行きとどく範囲で管理するように指示している。

目撃情報が寄せられた各自治体が同じような発令を出しはじめ、専門家がガイドラインを出す事態になっている。

■じつはクロネコだった?

一方で、目撃情報に合わせてフェイクニュースや「普通のクロネコだった」などのデマが出回ることが、捜査の妨げになっているという。

「レプッブリカ」紙は2月23日付の記事で、「プーリアのブラック・パンサー」という名前で黒ヒョウのフェイスブック・アカウントが作成されたと報じている。

もちろん、イタリアで黒ヒョウなどの野生動物を飼育することは違法だ。住民たちを不安から解放すべく、森林警備隊や警察がドローンなどを駆使して捜査を続けているが、まだ捕獲には至っていない。

https://courrier.jp/media/2021/03/07040559/133828307-944f3d34-8ba3-456c-88b8-9b8b22831336-625x354.jpg
目撃された黒ヒョウと見られる動物

2021.3.6
https://courrier.jp/news/archives/234637/