#再生可能エネルギー (そんな物は存在しません by FOX★) 

 世界各国で脱炭素シフトの動きが急加速している。
日本国内の関心は異様に低いが、脱炭素シフトは次世代の国家覇権をめぐる争いであり、この戦いに負けることは、そのまま日本経済の弱体化につながる。
一刻も早く、脱炭素をめぐる経済的な損得について社会的なコンセンサスを得る必要があるだろう。

 

再生可能エネへのシフトは地球環境問題ではない
 数年前まで脱炭素シフトというのは将来の話であるとのイメージを持つ人が多かったが、
再生可能エネルギーに関するイノベーションが一気に進んだことで、それはもはや過去の話となっている。
再生可能エネの発電コストはすでに火力を大幅に下回っており、天候不順などを考慮に入れて過剰に発電設備を作ったとしても、圧倒的に安いエネルギー源となりつつある。

(中略)

■限界コストが劇的に低下している

 再生可能エネについては、以前は天候不順時に発電量が足りなくなることが危惧されたが、今となってはその心配はほとんどないというのが専門家の一致した見方である。
その理由は、再生可能エネのコストが劇的に下がっており、余剰電力が発生するくらいまで大量に発電所を建設すれば、天候不順時でも需要を満たすことが可能だからである。



 政府は以前、再生可能エネのコストについてかなり高くなるという試算を行っていたが、それも過去の話である。
経済産業省と関連団体は「洋上風力産業ビジョン」を策定しており、その中で洋上風力発電のコストを1キロワット時あたり8〜9円にするという目標を設定したが、
この金額は既存の火力発電(約10円)よりも安い水準である。



 海外ではすでに1キロワット時あたり5円程度の発電コストを実現するプロジェクトも出てきており、今後、さらに価格が下がる可能性もある。


 生産を1単位増やすために必要な追加コストのことを経済学的には限界コストと呼ぶが、
市場規模が拡大すると規模のメリットが発揮されるので、限界コストが劇的に下がっていく。
天候不順による出力低下が懸念されるのであれば、低コストを生かして大量に発電プラントを作ってしまえばよく、経済的には十分にお釣りが来る。

(中略)



 ちなみに欧州や米国、中国は脱炭素関連の支出を戦略投資として位置付け、関連技術への投資に邁進している。
欧州連合(EU)は10年間で1兆ユーロ(約126兆円)、米バイデン政権に至っては4年間で2兆ドル(約200兆円)という巨額資金である。
中国も脱炭素を含む次世代インフラに170兆円を投じる計画を明らかにした。



 国際エネルギー機関の報告書を元に筆者が試算したところによると、全世界の脱炭素投資(再生可能エネへの投資と省エネ関連技術への投資)の総額は約6600億ドルとなっているが、
もしEUや米国、中国の関連投資が追加で実施された場合には、この水準をはるかに上回り、脱炭素への投資額はほぼ倍増となる。



 当然のことながら、これは巨額の景気対策でもあり、あらゆる業界にとって巨額マネーの争奪戦となっている。
日本は脱炭素について外圧と考えるのではなく、失われた30年を取り戻す最後のチャンスと捉えるべきであり、思い切った先行投資が必要である。
(文=加谷珪一/経済評論家)

(全文はソースにて)
https://biz-journal.jp/2021/03/post_210970.html