新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、宮城県と仙台市は25日から来月11日まで、同市内の飲食店計約1万店に午後9時以降の営業自粛を要請する。山形県と山形市も今月27日から、同様の措置を講じる。年度替わりで人の移動が激しいこの時期、飲食店への時短要請で、感染拡大の食い止めを図る。

 東北随一の繁華街として知られる仙台市青葉区の国分こくぶん町。24日夕、飲食店の入り口に「25日から午後9時閉店」「臨時休業」と書かれた紙が貼られていた。県内では今月の新規感染者数が24日時点で1437人に上り、人口10万人あたりの新規感染者数は33・35人と、47都道府県で最悪だ。

 国分町で居酒屋を経営する男性(36)は時短を前に「しょうがないと割り切るしかない」と肩を落とす。県内では昨年末から今年2月7日まで、対象範囲を変えながら時短要請が続いていた。ところが今月18日、県と市が独自の緊急事態宣言を発令。予約のキャンセルが相次ぎ、男性は「店の体力がどこまで持つか」と危機感を募らせる。

 市によると、最近は20歳代〜50歳代の感染が多く、7割の感染経路が不明だ。小坂健・東北大教授(公衆衛生学)は決定的な要因は不明としつつ、「大学入試や(東日本大震災が起きた)『3・11』など、2〜3月にかけて人の移動が激しかった」と説明する。

 村井嘉浩知事は22日、「最後の手段」と述べ、時短要請に理解を求め、さらに感染が拡大した場合、緊急事態宣言に準じた対策が可能になる「まん延防止等重点措置」の適用を国へ要請することも検討する。

 仙台市から車で1時間程度の距離にある山形市と山形県も27日から来月11日まで、市内全域で飲食店など約1200店に午後9時以降の営業自粛を要請する。

 宮城県が独自宣言を出した今月18日から山形県内では2桁の新規感染者数を記録。24日までの1週間で計138人に上り、うち山形市が91人と6割強を占めた。佐藤孝弘市長は24日、「市民や事業者には大変な不便や面倒をかけるが、今が正念場」と呼びかけた。

読売新聞 2021/03/25 11:36
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210325-OYT1T50116/