※読売新聞

【ロンドン=池田晋一、カイロ=酒井圭吾】エジプトのスエズ運河で今月23日に座礁したコンテナ船の離礁作業が成功し、運河の通航が近く再開されるめどが立った。ただ、世界貿易の大動脈が分断された前代未聞の事態だけに、海運会社による賠償請求など、事故の影響は尾を引きそうだ。

エジプト紙アル・アハラムなどによると、2015年に運河の拡張工事が終わってから、少なくとも計8件の船舶事故があったが、全面的な封鎖は今回が初めて。エジプト当局は今後、座礁船「エバー・ギブン」の船長らを聴取し、事故原因を特定する。当初、強風や砂嵐による視界不良が原因とみられていたが、スエズ運河庁は27日、「人的な要因の事故の可能性がある」との見解を示した。

エジプトにとってスエズ運河は、年間約60億ドル(約6600億円)の外貨を稼ぎ出す重要施設だけに「全面封鎖は極めてまれだが、どの海路でも起こり得る」(エジプト政府)と火消しに懸命だ。エジプトのモハブ・マミシュ大統領顧問は取材に対し、「責任は船の所有者らにあり、スエズ運河庁にはない。厳然と賠償を要求する」と強調する。

「エバー・ギブン」を保有する正栄汽船(愛媛県)や運航会社は今後、スエズ運河庁や航路を妨害された他の船舶から賠償を求められる可能性がある。

3/29(月) 22:27配信
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