アフリカゾウ2種の生息状況を研究者が初めて個別に評価した結果、厳しい現実が明らかになった。3月25日に発表された国際自然保護連合(IUCN)の「絶滅のおそれのある生物種のレッドリスト」の公式評価で、サバンナゾウが絶滅危惧種(Endangered)、マルミミゾウが近絶滅種(Critically Endangered)に指定された。IUCNのレッドリストは、絶滅のリスクをまとめたリストの中で、もっとも多くの種を網羅したものだ。

 長い間、ゾウはアフリカゾウとアジアゾウの2種だけだと考えられてきた。しかし実際には、アフリカゾウは2つの種に分類できる。片方のサバンナゾウ(Loxodonta africana)は大柄で、湾曲した牙を持ち、サハラ以南のアフリカの平原に生息する。もう片方のマルミミゾウ(Loxodonta cyclotis)は小柄で、ほぼまっすぐな牙を持ち、中央アフリカから西アフリカにかけての熱帯林で暮らす。

「どちらの種も、減少の最大の要因が密猟である点は、今も変わりません」。IUCNでゾウの保護と管理を担当する専門家グループのメンバーであり、今回の新たな評価を主導したキャスリーン・ゴブシュ氏はそう述べる。(参考記事:「ゾウの密猟、地域の貧困と汚職と強く関連、研究」)

「今回の評価を通して新たに注意を喚起することで、世界中でゾウを殺したり、象牙を取引したりすることをやめる気運が高まるよう願っています」


 分類学上、マルミミゾウとサバンナゾウを2つの種に分けるべきだという証拠は、2000年代初頭から積み上げられてきた。IUCNが最後にアフリカゾウの評価を発表した2008年の段階では、この2つはまだ単一の種と考えられており、そのときは危急種(Vulnerable)という評価だった。それ以降の研究で、マルミミゾウとサバンナゾウは別種だと認識されるようになった。

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https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/032900155/?ST=m_news