新型コロナウイルスの感染再拡大が東京など大都市圏だけでなく、医療資源の限られた地方でも顕著となる中、一部地域で病床が足りなくなり、都道府県が患者を居住地とは別の市町村に入院させる「広域調整」を行うケースが目立ち始めている。ただ、確保できる入院先が遠方であることもあり、感染がさらに広がれば、入院の調整を含め自治体は難しい対応を迫られることになる。(荒船清太)

5日から「蔓延(まんえん)防止等重点措置」の適用が決まった仙台市。1日には68人の感染が判明、1人が変異株に感染するなどさらなる感染拡大が懸念される同市では病床が逼迫(ひっぱく)し始め、現在は近隣市町村の病院にも入院させるケースが出てきた。仙台市の担当者は「市から100キロ近く離れた気仙沼市の病院に入院をお願いしたケースもあった」と話す。

感染者の入院先は基本的に、感染者を管轄する保健所が管内の病院を確保する。宮城県は医療資源を調整する本部を県に設置し、感染者が急増する保健所から病床に余裕のある保健所への橋渡しを担うが、担当者は「保健所としては自分の管内で感染者が発生した場合に備えて病床を確保しておきたい。他の保健所に提供してもらえるよう専門家の判断を交えながら説得している」と打ち明ける。

宮城と同様、病床が逼迫している福島県でも、感染が広がる福島市や郡山市から100キロ近く離れた、いわき市の医療機関に感染者を搬送する事例が相次いでいる。遠方の場合は搬送手段の確保も課題の一つ。入院する感染者は高齢者が多く、横になった状態で運べるストレッチャーを備えた救急車を地元消防に依頼し、搬送に活用しているという。

政府は入院先までの交通費などには補助金を出しているものの、退院後は公共交通機関が使えるため交通費は自費となる。福島では、退院後の交通費は県から支給しているが、こうした費用面も自治体にとって課題となる。

協力を取り付ける必要があるのは保健所だけでなく、病院も同様だ。沖縄県では県内の医療機関が病床の使用状況をそれぞれ共有。医療の専門家が病院との折衝に当たることで、医療体制の認識を共有し、互いに感染者を受け入れやすいような仕組みを構築している。

今後、さらに地方での感染が拡大すれば、都道府県境を越えて入院先を確保する必要に迫られる可能性もある。政府はそうした事態に備えて広域の搬送・受け入れルールの整備を求めているが、ある自治体の担当者は「まだ机上の論理にすぎない点があり、今後、さまざまな具体策を詰めていく必要がある」としている。

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2021.4.3 22:01
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