「五輪のリスク議論、タブー視するな」


ーーこの状況でオリンピックを開催することは非現実的なのではないかと考える人が増えていると思います。どう考えますか?

専門家として、これまでオリンピックは政治問題だと言及を避けてきましたし、
尾身先生も国会に呼ばれた時に専門家として言うべきではないと答えてきました。

ただ、これからの感染対策を考えると、オリンピックは「マスギャザリングイベント」であり、
人が大勢動き接触する機会を作るイベントになります。

高齢者の予防接種は残念ながら夏までには達成されないでしょう。
でも来年の夏だったら遅れても接種できているのではないかと思います。

今焦ってこの大規模イベントをやる必要があるのか、みんなで考えた方がいい。
少なくとも議論をしてもらえないでしょうか。オリンピックの決定が、密室でいいのかなと正直思います。

オリンピックの当事者は、本当は選手ですね。僕もマラソンが大好きですし、
選手の本当のピークの年齢が3年続くわけではないとも思います。

でも、その人たちの合意が得られるのであれば、今目の前にあるリスクを減らす決断をするには、
最後のチャンスに近づいているのではないでしょうか?

もし無茶をして突入しようとしているならば、いろんな方面からみなさんが声をあげて、考えを改めてもらう必要があるのではないかと思います。
十分にリスクを検討しただろうか。そろそろ公の場でも僕も話そうと思っていました。


ーー全国的な移動だけでなく、海外からも移動があるのがオリンピックなわけですね。

海外からのお客さんは来ないですが、選手はきますし数多くの関係者もきます。

国内でチケットを買っている知り合いもたくさんいますが、その人たちも動きます。
長距離の移動は接触しないまま移動するのは無理です。

この感染症が昔、中国の武漢にしかなかったのになぜ今世界中に広がっているのか、もう一度思い出してほしいと思います。
「人が移動することで感染症がうつるわけではない」というのは究極の詭弁だと思っています。


【西浦博(にしうら・ひろし)】京都大学大学院医学研究科教授
2002年、宮崎医科大学医学部卒業。ロンドン大学、チュービンゲン大学、
ユトレヒト大学博士研究員、香港大学助理教授、東京大学准教授、北海道大学教授などを経て、2020年8月から現職。

専門は、理論疫学。厚生労働省新型コロナウイルスクラスター対策班で流行データ分析に取り組み、
現在も新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードなどでデータ分析をしている。
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-nishiura-20210409-3

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https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1617838820/