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ロケット残骸による地表への被害の恐れは極めて小さい 中国専門家

   中国のロケット「長征5号B」により、4月29日に独自の宇宙ステーション建設に向けてコアモジュール「天和」を成功裏に打ち上げた後、西側や日本などのメディアはこのほど、「飛行姿勢から見ると、ロケットの残骸はすでに制御不能になっており、地表に落下する脅威がある」と報道し、悪意を持って宣伝しています。

 西側メディアなどのこのような報道は初めてのものではなく、実は昨年も同様に「懸念」を示していました。2020年5月5日、初飛行のロケット「長征5号B」は重さ22トン近くの次世代有人宇宙船試験機の打ち上げに成功しました。その時、ハーバード大学のジョナサン・マクダウェル氏は取材に対し、「これはソ連時代のサリュート7号宇宙ステーション以降、制御不能になって大気圏に帰還する最大の物体で、大きさは近年大気圏に再突入した他の宇宙船の残骸よりずっと大きい」、「こんなに大きい人工物がこれだけ多くの重要都市の上空を通過するのは見たことがない」と嘆いていました。

 実際、ロケット「長征5号B」の残骸の大気圏再突入について、中国の宇宙飛行機構と専門家は何度も説明しました。宇宙飛行専門家の邢強博士はこのほど「環球時報」の記者に対し、「ロケット内部の燃料が発射過程で消耗された後、ロケットの残骸はそれほどの重さではなくなる。しかもアルミニウム合金を中心とした残骸は大気圏で燃焼されやすい。従って、宇宙ステーションや大型衛星に比べて、ロケット残骸が地表に被害を与える可能性は極めて小さい。また、その飛行軌道はメディアが報じた「制御不能」ではなく、精密な計算を経た上、パッシベーション対策が取られ、軌道飛行時間を意図的に短縮している」と説明しました。

 宇宙飛行士訓練センターである北京航天城ニューメディアセンターは昨年、関連の科学的知識の普及活動を行いました。その中で、「ロケットが分離された後、その任務は終わったものの、推進薬、高圧ガス、バッテリーはまだ残っているため、ロケットの爆発が引き起こされ、宇宙のゴミになり、宇宙船の安全を脅かす恐れがある。それを避けるため、中国を含む世界の責任ある宇宙飛行大国は、ロケットの最終段階にパッシベーション手段を取っている。簡単に言えば、余った燃料や高圧ガスを吐き出し、バッテリーを短絡させ、ロケットの最後の『自爆』のリスクを徹底的になくすようにしている。また、貴重な軌道資源を占用しないよう、パッシベーション前にはロケットが軌道から外れて、廃棄軌道に移ることもある」、「人類初の人工衛星が打ち上げられてから60年間余り、地球を周回したロケットの残骸や宇宙ゴミが人類を直撃した例は一度もなかった」との説明がありました。(閣、浅野)