中止にできない理由とは――。新型コロナウイルス禍の影響で東京五輪の開催が危ぶまれる中、英放送局「BBC」は「日本が中止について何も言わないのは、複雑な問題が絡んでいるからだ」と伝えている。

 複数の世論調査によると、東京五輪の中止を求める声が半数以上を占めているが、中止を決断する権限は国際オリンピック委員会(IOC)にある。開催都市側に権限はなく、メルボルン大学のジャック・アンダーソン教授は「この開催都市契約のさまざまな取り決めのもと、もし日本が一方的に契約を解除する場合、それによるリスクや損失はもっぱら組織委員会のものとなる」と説明した。

 その上で、同局はIOCとの契約以外の点でも、日本が中止に踏み切れない理由を説明。「もし東京五輪が中止となった場合、次に予定されているのは2022年開幕の冬季北京五輪だ。アジアで日本と勢力争いをする中国で開催される五輪が次に控えているので、日本政府はできる限りのことをして東京五輪を実現しようとするはず」と指摘した。

 さらに、1964年東京五輪は第二次世界大戦からの復興の意味が強かったため、アンダーソン教授は「日本は長いこと経済が停滞している。(東日本大震災による)津波と福島県の原発事故もあった。そのため、東京五輪は日本の復興の象徴となったはずだ。そういう意味では特に大事な大会になる」と分析した。

 東京五輪まで残り70日あまり。なかなか決断を下せない裏には、深い闇が隠されているようだ。

2021年5月16日 20時2分  東京スポーツ
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