――テレビの報道では、欧米に比べて日本の接種率が低いこと、接種の予約が取れなくて困っている人の声、さらに世論調査でコロナ感染への不安を「大いに感じる」と「ある程度感じる」が43%ずつ、合計86%だとあおる。これでは、接種に駆り立てているようなものです。世論調査の回答もメディアが脅した結果だろうと思います。実際には接種率の高い国に比べて日本は新型コロナの感染者数も死亡者数も非常に少ないのですから。

むしろ、ワクチンを検討するうえでは、新型コロナの被害との比較考量こそが本当に重要です。人口比で見た新型コロナの感染者数や死者数が数十分の1〜百分の1という大きな差です。アメリカやイギリスにおける新型コロナがゴジラだとすれば、日本など東アジアの国々ではライオン1頭くらいです。ですから、副反応のリスクがあってもアメリカやイギリスは賭けに出ている。毎日1000人単位で死者が出る状態を阻止する必要があった。しかし、日本はもともと新型コロナの被害が小さいので賭けに出る必要がない。なぜ欧米の真似をする必要があるのでしょうか。(※文末に比較表を掲載)

「ワクチンの副作用のリスクはすごく小さい」というのは、その通りでしょう。ですが、「そもそもコロナで死ぬリスクもすごく小さいんです」ということを言わない。そういう中で、長期的な副作用が出る可能性は低くても、まったくないとはいえない。賭けに出る価値があるのか、社会全体でじっくりと議論する必要があるのに、マスコミがあおって、駆り立てることで泥沼にはまってしまっています。すでに、現場では医療関係者がワクチン接種を強制されています。

――医師や専門家はメディアから問われると、さすがに、ワクチンを打つかどうかはご自身で決めてください、とは言っています。ところが、すでに医療機関や高齢者施設では事実上の強制になっていますね。

――アメリカ疾病対策予防センター(CDC)が妊婦への接種を推奨対象にするとしていたら、案の定、日本産科婦人科学会も接種する利点がリスクを上回るとの提言を出しました。

日本の場合は本当に欧米に引きずられるという問題がありますね。

ワクチンファシズムが広がっている

――今の大手メディアのあおり方からすると、ワクチンを打たないのは非国民、みたいな感じになりますね。医療関係者以外でも、企業などの集団でもそういう空気が醸成されていくかもしれない。「医療全体主義」と森田さんはおっしゃっていましたが、これもそうですね。

まさに、ワクチン全体主義、ワクチンファシズムです。

――驚いたのは「ワクチン接種証明」という話が出てきたことです。

僕は本当にこれには反対ですね。効くかどうかもわからない、根拠のないものに「接種証明」なんて意味がない。個人個人で体質も違います。また、同調圧力の強い日本でそんなことを言い出したら、深刻な差別につながります。日頃、多様性を認めるべきなどと言っておきながら、新型コロナに関しては多様性を一切認めていないのが現実ですからね。

――周囲の雰囲気にのまれずに、自分で冷静に判断することが必要ですね。

若い人はコロナにかかっても死なないという話をしましたが、では高齢者の場合、どうなのか。高齢者が年を取って免疫力が低下して、認知症やがん、さまざまな病気の可能性がある中で新型コロナを怖いと思うのか、運命と思って受け入れるのかは個人の判断であるべきです。

肺炎で日本ではお年寄りが毎年12万人死んでいる。毎月1万人、1日300人以上です。新型コロナも肺炎の一つです。肺炎の原因が少し上乗せされた。これまでは肺炎で死ぬことを過度に恐れて外出を制限されることもなかったのに、今回の新型コロナだけは、出かけるな、動くなと言われ、家族も会いに来るなと言われる。遊びにも行けず、おいしいものを食べに行くこともできません。コロナ一神教でかごの中に閉じ込められて、免疫力がつくわけがありません。

新型コロナで1年半が経過して1万人しか死んでいない。そのように受け入れると、生活がすごく楽になる。全員にそう思えとは言いませんが、そう思う人がいてもいいのではないでしょうか。
https://toyokeizai.net/articles/-/429131?page=5