日本医労連は31日、介護事業所にある傘下の労働組合に行った新型コロナウイルス対策に関するアンケート結果を発表した。それによると、介護の利用者がサービス利用を控える傾向から、ほぼ半数の事業所で昨年度の職員の年収が下がったとの回答が寄せられた。
 アンケートは4〜5月に行い、全国の135事業所(高齢者福祉117、障害福祉12、児童福祉4、無回答2)が回答した。職員の昨年度の年収が「減った」と回答したのは49%。一方、増えたと答えた事業所は12%、「変わらない」は34%だった。
 現在不足しているものを複数回答で聞いたところ、体制(人手)が70%でトップ。以下、補償30%、設備21%、情報19%、プラスチック手袋13%と続いた。
 利用者のコロナ感染(疑い含む)を経験した事業所は31%、職員が感染(同)したのは22%だった。
◆職員のメンタルケア訴える声も
 政府・自治体への要望を自由記入してもらったところ、職員へのワクチンの早期接種や、定期的なPCR検査の実施を求める声が多く寄せられた。独居高齢者が感染した場合の公的な支援網の脆弱さや、職員のメンタルケアの必要性を指摘する声もあった。
 厚生労働省で記者会見した森田しのぶ中央執行委員長は「慢性的な人手不足や低賃金に新型コロナウイルスの負担が加わった。国の責任で、経営難にある施設の財政保障をするべきだ」と、介護職員の処遇改善や減収補を求めた。(大野暢子)

東京新聞 2021年6月1日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/107775