米政府「興奮している」…日米豪印「クアッド」会合、井上科技相が参加へ
読売 2021/07/07 13:10
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井上科学技術相

 【ワシントン=船越翔、横堀裕也】米政府は6日、日米豪印4か国の連携枠組み「Quad(クアッド)」が今月13日に予定するオンラインでの閣僚級会合に、日本の井上科学技術相が参加すると正式発表した。人工知能(AI)や量子技術など最先端技術分野で開発を急速に進める中国に対抗するため、クアッドは今回の会合を通じて技術開発や人材育成などの連携を強める。

 米政府は6日のツイッターの投稿で「井上科技相の参加を発表することができて、とても興奮している」と強調した。13日には米国主催でAIなどの最先端技術に関する国際会議が開かれ、その一環として閣僚級会合を行う予定になっている。

 対中国包囲網の形成を急ぐバイデン政権は、民主主義など共通の価値観を持つクアッドを重視する。3月には首脳会議をオンラインで開き、対中国を想定した海洋安全保障協力を明記した共同声明を発表した。軍事や経済面の安全保障に直結する最先端技術についても、バイデン政権はクアッドを軸に国際連携を深める必要があると判断した。

 今回の会合では各国の強みを念頭に、競争力の強化や専門家の育成、機密情報の流出防止などを議論する見通しだ。日本政府は、ハイテク製品に欠かせない材料の確保や、海外留学生・研究者の受け入れ審査の厳格化など経済安全保障の取り組みを強めている。インドはAIやIT分野での自国の専門人材で連携に貢献し、オーストラリアはレアアース(希土類)など希少金属の生産体制強化を図る。

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【独自】日米豪印、AIや半導体で連携へ…開発やルール主導で中国に対抗
読売2021/07/07 05:00
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 【ワシントン=横堀裕也、船越翔】日米豪印4か国の協力枠組み「Quad(クアッド)」は、人工知能(AI)や半導体などの最先端技術分野での連携を強化する。台頭する中国に対抗し、民主主義など共通の価値観を持つ4か国が協力し、国際的な研究開発競争やルール形成を主導する狙いがある。今月13日、科学技術担当による初の閣僚級会合をオンラインで開き、連携に向けた議論を本格化させる。

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 閣僚級会合は、米議会の独立委員会主催の国際会議の一環として開かれる。米国からはオースティン国防長官やジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官、エリック・ランダー科学技術政策局長などが参加し、日本からは井上科学技術相が参加する予定だ。

 会合では、競争力強化の方策を協議するとともに、先端技術の人権侵害などへの悪用を防ぐため、倫理面も含めた国際ルール形成に向けた議論も行う見通しだ。経済安全保障の観点から、機密情報の流出阻止や半導体の安定供給なども主要テーマとなる。

 最先端技術は経済成長に直結し、防衛力の優劣も左右するため、各国間の開発競争が激しくなっている。バイデン米政権は今年3月には次世代コンピューターや通信技術、半導体などの開発支援に今後8年で1800億ドル(約20兆円)を投入する考えを打ち出した。

 一方、中国は機密情報の安全なやりとりに必要な「量子暗号通信」の実証実験に成功するなど、次々と成果を上げている。さらに、中国当局が新疆ウイグル自治区の少数民族追跡のためにAIによる顔認証ネットワークを利用しているとして、米欧などが問題視している。

 バイデン政権は同盟国の技術力を結集して開発競争に臨むとともに、自由や人権に配慮した形での国際的な規制を実現するべく、クアッドを軸に民主主義諸国との連携を深めていく考えだ。

 ◆ Quad(クアッド) =日米豪印の民主主義の4か国で連携し、インド太平洋地域の法の支配などを推進する枠組み。Quadは「4」を意味する。