岩手県久慈市の久慈琥珀(こはく)博物館は9日、ティラノサウルス類の歯化石が3年前に見つかった同市小久慈町の白亜紀後期の地層「久慈層群玉川層」(約9000万年前)から過去5年間で、国内初確認となる肉食恐竜3種類の歯化石計5点が発見されたことを明らかにした。

 確認された歯化石は、北米で報告例があるリカルドエステシア・ギルモレイ2点と、リカルドエステシア・イソスケレス2点、パロニコドン1点。リカルドエステシア2種の発見はアジアでも初めて。
 早稲田大と同博物館が共同調査をしている現場で2016年3月〜21年3月、学生らによって掘り出された。歯の長さはいずれも5ミリ弱〜15ミリ程度。各個体の体長は、恐竜としては小型の1〜2メートルと推定される。
 白亜紀後期の同一地域・同一層準から、少なくても4種類の肉食恐竜の化石が発見されたのも国内初。
 12年から発掘調査に当たる早大の平山廉教授(64)=古生物学=は東京都内で記者会見し「食物連鎖の頂点に立つ多様な肉食恐竜が生息しており、当時の日本にジャングルのような豊かな生態系があったことを示す」と解説した。
 また、「歯の形態から食性は肉食から雑食までさまざまだったと思われる。歯以外の化石も産出する可能性は大いにある」と今後の調査に期待をにじませた。


発見した歯化石を指す石賀さん。奥の4点がリカルドエステシア。手前左がパロニコドン、手前右がティラノサウルス
 リカルドエステシア・ギルモレイの歯化石を3月に見つけたTCA東京ECO動物海洋専門学校2年石賀大登さん(19)=足立区=も同席。「琥珀が出そうな場所を掘っていたら発見できて驚いた。卒業後は久慈に移住し、発掘を続けたい」と語った。
 久慈層群玉川層からは21年3月現在、大型植物食恐竜の歯化石、カメ類やワニ類の骨格など約30種類の脊椎動物化石が2300点以上、見つかっている。

河北新報 2021年07月10日 06:00
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