ヒトパピローマウイルス(HPV)は一般的なウイルスで、米国立がん研究所によると、
感染によって子宮頚がんをはじめ、口腔がん、肛門がん、陰茎がんの原因になることが分かっています。

HPVは性交渉によって感染することが多く、性経験のある女性は生涯のうちに50%が感染するというデータもあります。
また、感染している母親の出生児の口腔内のHPV感染率は22.8%とする衝撃の報告も。

今回は、HPVの真実について、わかりやすく解説します。


子宮頸がんの95%以上は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。
また、他のがんの原因になることが分かっています。その中の1つが口腔がんです。

これまで、口腔がんの発症には飲酒や喫煙が関与しているとされていました。
しかし近年の研究では、飲酒・喫煙と関連がない口腔がんが増加していて、第3のファクターとしてヒトパピローマウイルス(HPV)が挙げられています。

パピローマとは「イボ」を意味し、パピローマウイルス(HPV)はイボを作るウイルスで100種類以上の型があります。
手足などの皮ふにできるものを皮ふ型、性器や粘膜、直腸など体内にできるものを性器・粘膜型と呼びます。

特に口腔内の粘膜の表面が白いレース状(網状)となった慢性炎症の状態(扁平苔癬)では、HPVに感染しやすくなっているため、
がん予防の観点からも注意が必要となります。HPVに関連した口腔がんは高齢者では少なく、若い世代に多いことが特徴です。

HPV感染は濃厚な接触で起こるので、キスや性行為などの直接的な接触を介して、パートナーとHPVを共有することになります。

英国保険サービス(NHS)は、口腔がんの4分の1はHPVと関連しており、オーラルセックスが口腔HPV感染の主な原因としています。
今年1月にオーラルセックスとHPVとの関連を解析した研究が米国から発表されました。

オーラルセックスのパートナー数とHPV関連のがんの発症リスクには関連が深く、
性的パートナーが10人以上いる人では、10人未満の人に比べ4.3倍リスクが高くなります。


また初めてオーラルセックスを行なった年齢が18歳以下の場合、20歳以上と比べリスクが1.8倍に。
1年に5回以上のオーラスセックスを行うことでも、リスクは2.8倍です。

性的パートナーが高齢、あるいは婚外者でもリスクが高くなることもわかっています。
この研究から、オーラルセックスとHPV関連のがんの発症の関連が浮き彫りになりました。


HPVワクチン(不活化ワクチン)は2006年に欧米で生まれ、日本では2009年12月にワクチンが承認されました。
世界保健機構(WHO)はワクチン接種を推奨していて、現在では100カ国以上で公的に予防接種が行われています。

イギリス、オーストラリア、カナダでは女性の接種率は約8割にのぼります。

日本でのワクチンの対象者は小学6年性〜高校1年性の女性ですが、接種率はわずか0.3%に留まっています。
これは国民性もあるかもしれませんが、接種導入時の合併症に関する誤情報の影響が大きいと言えます。

ウイルスやワクチンに対する正しい知識をつけて、ワクチン接種しないリスクも考えて判断することが賢明でしょう。

また性行為により感染することを考え、男性への接種を対象として推奨している国も多い中、日本では男性は予防接種対象者になっていませんでした。
しかし2020年12月25日にようやく日本でも男性にもワクチン接種の承認がおりました。

HPVの感染予防はパートナーと一緒に感染対策を行う協働作業であり、独りの努力では不十分です。
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