ビール類(ビール、発泡酒、第三のビール)の販売が伸び悩む中で、狭義の「ビール」が健闘している。
酒税法改正で店頭価格が下がったという理由だけではない。世代別に分析すると20代が着実に手に
取っている。「おじさんの飲み物」というレッテルを覆し、真価に気付いてもらえたのか。コロナ下で
買い手の動きが変わった。

「ビールへの回帰が顕著に見られる」。キリンビールの布施孝之社長は7月9日の会見でこう語った。
コロナ禍でビール類の市場が縮小しているがビールに限れば2021年上半期(1〜6月)の販売数量は
前年同期比10%増。ビールが上半期に前年を超えたのは6年ぶりだ。

けん引役は20代の若者。市場調査会社のデータによると、旗艦ブランド「キリン一番搾り」は5月の
販売数量が前年同月比約1.3倍で、その中でも20代による購入が約1.6倍と突出している。布施社長は
「ビールの魅力化にとって大変良い傾向だ」と自信を見せる。

大手4社の上半期のビール類販売は全社が前年同期を下回り、数量の減少幅はキリンが2%、サッポロ
ビールは5%、サントリービールは11%となった。金額ベースで公表しているアサヒビールは8%減った。

一方、購買行動を分析すると20代の家庭用のビール消費が伸び、キリンやサッポロは缶商品の売れ行き
が好調だ。「若者のビール回帰」に需要回復のかすかな光明が見える。

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