新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、高齢者や喫煙者は接種完了後の3カ月後に抗体の量が大きく低下する傾向にあることが10日、
国立病院機構宇都宮病院の調査で分かった。

感染力の強い変異株「デルタ株」が広がる中、高齢者や喫煙者は若者らに比べ、
ワクチン接種後も時間がたつと感染リスクが高まる可能性がある。

一方、担当者は「接種後は感染しても抗体ができやすく、重症化を防ぐ効果はある」と有効性を説明し、
3回目の接種体制づくりの必要性を訴えた。

同院呼吸器・アレルギー内科のチームが、2〜3月にファイザー社製のワクチンを2回接種した同院職員378人を対象に、
免疫機能の強さを示す「抗体価」を調べた。

発表によると、51〜64歳の職員6人の抗体価は2回目の接種から2週間後に10〜20倍へと上昇した。
しかし、接種から3カ月後には3分の1〜5分の1程度に低下していた。

3カ月後の抗体価の中央値を年代別に比較すると、年齢が上がるにつれて低下し、60〜70代では20代に比べ半分程度となっていた。

年齢差を補正し、喫煙習慣の有無で比べると、喫煙者は非喫煙者や禁煙した人と比較して抗体価が低かった。
飲酒習慣や生活習慣病については、年齢を調整すると統計学的な差はみられなかった。

どの程度の抗体価があれば、感染や重症化の予防に有効かは明らかになっていない。
しかし今回の研究結果について、責任者の杉山公美弥(すぎやまくみや)副院長は
「ワクチンを2回接種しても感染の可能性があるという裏付けになる」とみる。

モデルナ社製のワクチンについても、「同様の結果が得られると考えられる」とする。

その上で「感染予防効果を維持するため、定期的なワクチン接種が必要」と指摘し、「早期に3回目の接種体制を検討するべきだ」と話した。

喫煙の影響については「はっきりした理由は分からないが、B型肝炎ワクチンでも同様の研究結果がある。これを機に禁煙を進めてほしい」と呼び掛けた。
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/486997