マンション投資で大失敗

コロナ禍で投資をする人が増えています。感染拡大で株価が急落した直後に投資を始めた人たちの中には、わずか1年ほどの間で2倍に資産を増やしたラッキーな人もいます。こうした人たちの成功体験を聞いて、我もと運用を始める人がさらに増えているようです。

ファイナンシャルプランナーである筆者のところにも資産運用に関する相談がだいぶ増えました。すでに投資を始めているお客様からは、「投資信託の評価額がかなり増えた」という喜びの声も多く聞きますが、残念ながら誤った投資(ギャンブル?)をしてしまい「資産を減らしてしまった」という悲しい声も一部で聞こえてきます。

むろん、誰でもはじめは失敗がつきもので、「高い授業料だったがよい経験になった」と損切りできればいいのですが、手放したくても手放せず、その後も長いこと家計に大きな悪影響を与えるとなると事態は深刻です。

今回は、多く寄せられる相談の中でも特に悲惨なケースとして、フルローンを組んで新築ワンルームマンションを購入した失敗事例を紹介します。後半では、トラブルを回避する方法もお伝えしていますので、不動産投資を検討している人は他山の石として参考にしてください。

利益が出るどころか赤字続き

会社員のAさん(36歳)は、4000万円する都内の新築1ルームマンションを、頭金は一切出さず、4000万円の不動産担保ローンを組んで投資用として購入しました。

独身ということもあり、まだ住宅も購入したことがなく、初めて組むローンです。ところが、年収が500万円あり安定したサラリーマンだったので、ローンの審査は思っていた以上にスムーズにおりました。

定年退職後は家賃収入で老後資金を賄いたいというのが購入の動機だったようです。Aさんは勤務先に退職金制度がなく、かねてより老後資金に不安を感じていました。

そんな時たまたまインターネット上で目にした不動産投資セミナーに参加します。

セミナー参加後、主催会社から「良い物件があります」と新築ワンルームマンションを紹介され、「節税になる」「家賃保証もする」「老後は不労所得が得られる」と甘い言葉をささやかれ、あれよあれよという間に契約に至りました。

ところが、買った後で「投資=儲かる」と思っていたイメージとはだいぶ違っていたことに気がつきます。

購入後、Aさんの銀行口座には家賃収入が毎月10万円ほど入るようになりましたが、ローンの返済が毎月約13万円です。翌年には固定資産税・都市計画税の請求が約10万円くるようになりました。さらに、火災保険・地震保険料が毎年2万円ほどかかります。これだけでも年間48万円の赤字となります。

家賃収入という不労所得が得られると思っていたイメージとは程遠く、毎月の給料から3万円をローンの返済に充て、ボーナスで税金・保険料を支払うという状態が続きました。

それでも、

「本来、年間156万円の返済をしなければならないところ、48万円の持ち出しでこのマンションが手に入るのであればお得です。定年を迎えるころにはローンの返済が終わって家賃収入が得られますよ」

と不動産会社に言われた言葉を信じて、数年間返済を続けていました。しかし、結局、この投資が、Aさんの人生に大きな影を落とすことになるのです。その経緯については【後編】「年収500万の36歳会社員、4000万円の「マンション投資」のせいで地獄を見たワケ」でお伝えします。

https://news.livedoor.com/article/detail/20715898/


【後編】年収500万の36歳会社員、4000万円の「マンション投資」のせいで地獄を見たワケ
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/86358