2016年、タリバン平和会談促進のためにアフガン外相と会ったときの王毅外相
https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/r/iwiz-yn/rpr/endohomare/00254221/title-1629457208594.jpeg
図表1 アフガンに眠る地下資源の主要なデータ
https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/r/iwiz-yn/rpr/endohomare/00254221/image-1629454618700.jpeg
図表2:アフガニスタンに眠る地下資源の分布図
https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/r/iwiz-yn/rpr/endohomare/00254221/image-1629454966194.jpeg

 アフガン人を中国では「金鉱の上に横たわる貧者」と称するが、タリバン勝利の前から中国がタリバンと経済協力を誓い合った狙いの一つにアフガンに眠る地下資源がある。これまでの動きと現状を考察してみよう。

※省略

 アフガンには1兆ドルから3兆ドルにのぼる地下資源が埋蔵されたままになっていると言われ、報告書では「金鉱の上に横たわる貧者」という言葉でこの状況を表現している。

 報告書によればアフガンには「鉄、クロム鉄鉱、銅、鉛、亜鉛、ニッケル、リチウム、ベリリウム、金、銀、プラチナ、パラジウム、タルク、大理石、バライト、宝石および半宝石、塩、石炭、ウラン、石油、天然ガス」などが開発されないまま眠っているそうで、その埋蔵量は現在わかっているものでは、おおむね以下のようになるとのこと。

 コンデンセートとは、天然ガスの採収の際に地表で凝縮分離する軽質液状炭化水素のことで、天然ガスコンデンセートとも呼ばれる(常温常圧で液体)。

 まだ探査が進んでいないのか、ニッケル、リチウム、ベリリウム、パラジウム…などのレアメタルの埋蔵量に関しては書かれてないが、中国にとっては魅力的なものばかりだ。中国は世界的なレアメタルの生産地ではあるものの、最近では米中覇権における戦略的物質の一つとして益々需要が高まっている。

※省略

 図表2で「新しく入札した」と書かれているが、この「新しく」は、上記分布図が作成された時のことで、この分布図がどの時点のものかは報告書には書いていない。おそらく10年ほど前にアメリカが調査した結果を参照しているのではないかと推測される。

 中国企業に関しては「中国石油」や「中冶集団」などの名前が見られるが、これらは中国独自の情報として記入したものと思う。ここでは銅鉱山に関してご紹介する。

◆アフガン最大級の銅鉱山を早くから中国が押さえていた

※省略

◆「2016年」からタリバンと中国が取引開始

 実は2016年にタリバンにとって衝撃的な事件が起きた。

 2016年5月21日にタリバンの最高指導者だったアクタル・マンスール師が米軍によって殺害されたのだ。殺害を命じたのはオバマ元大統領。これによりタリバンを和平交渉の席に就かせようとしていた機運は遠のき、タリバン代表がその2ヵ月後の7月18日から22日まで北京を訪れ、中国に救いを求めている。

 「外国の軍隊により占領されている屈辱」を訴え、「国際会議で取り上げてほしい」と中国に要望した。

 中国がタリバン側に立って国際社会で主張してくれる代わりに、ある種の「交換条件」として「China gets an all-clear from the Taliban to mine for copper in Afghanistan(タリバンの許可を得て、中国がアフガニスタンで銅を採掘する)」という事態にまで発展しているが、2016年における中国側からの公式発表は何一つない。

 ということは、これらは秘密裏に進行していたことになり、このときタリバンは「中国に30億ドルの鉱山プロジェクト再開の許可を与えた」と言っているが、アフガニスタン政府は、「過激派グループがほらを吹いているだけだ」とせせら笑っていた。このときメス・アイナク銅山がある地域は、タリバンが支配していたようだ。

◆運搬手段は「一帯一路」のインフラ投資につながる

※省略

◆駐アフガンの中国大使館が撤収しようとしなかった事実

 その証拠に、タリバンの快進撃が始まった8月半ば、アメリカ大使館を始めとして多くのNATO側諸国の大使館が慌ただしくアフガニスタンから撤収しようとしていたのに対して、中国大使館とロシア大使館は微動だにしようとしなかった。

 タリバンによって守られることを確信していたからだ。

 この事実に注目している人は少ないが、これこそが「タリバンの背後に中国あり」を如実に示す、何よりの証左なのである。(続きはソース)

8/20(金) 20:01
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20210820-00254221