市場でものを盗んだとされる男性がタリバンによって公開鞭打ちの刑に(写真・西谷文和、アブドラ・アムリー)
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「今年の春から、政府軍支配地域が次々とタリバンに制圧されました。しかし、バイデン米大統領は米兵の撤退を急ぎました。多くの識者が、米軍なしでは『タリバン政権が生まれる』と指摘していたにもかかわらずです」

 そう話すのは、アフガニスタンの取材を続けるジャーナリストの西谷文和氏だ。

 アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンは、8月15日に首都カブールを制圧し、政権を奪取した。2001年、9・11テロ事件を発端とするアフガニスタン戦争で崩壊して以来、20年ぶりの復権となる。

「現地通訳を介して聞くと、カブール市内は、混乱の極致にあります。タリバンから逃れてきた人々の難民キャンプが市内に点在し、亡命をするために米軍輸送機にしがみつき、落下して亡くなる方がいる一方、恭順を示すためにタリバンの旗を掲げる一般市民も増えています」(同前)

 アフガニスタンといえば、日本人医師の故・中村哲氏が結成した「ペシャワール会」がある。2019年に中村氏が銃撃され亡くなった後も、支援活動を続けていたが、15日からは現地での活動休止を余儀なくされているという。同会の古川正敏事務局長が、現在の様子をこう話す。

「現地の政治情勢については、会としてはコメントしません。中村医師が存命のころから、政治については関わらないというスタンスです。現地の灌漑用水事業や医療事業は攻撃されておらず、安全を確認でき次第、再開する予定です」

 軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は、タリバンはペシャワール会を潰さないとみる。

「中村さんが銃撃された際、タリバンの指導部は関与を否定しました。むしろ自分たちを助けてくれる活動を、タリバンもありがたいと思っているはずです。とはいえ、現在は権力の空白期間。何が起きるかわかりません」

 これまで過激なイスラム原理主義に基づき、女性の権利を著しく抑制するなどしてきたタリバン。今回の政権は違うものになるのか。

「海外向けにおこなった記者会見で、報道官は『人権を尊重する』などと語っていましたが、現地では公開リンチをおこなうなど、本質は変わっていません」(前出・西谷氏)

 犠牲を強いられるのは、非力な市民だ。

SmartFLASH 8/24(火) 6:03配信
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