宮城県登米市が職員の初任給を誤って算定していた問題で2020年11月、市の公益通報制度に基づいてミスを指摘した市職員の内部通報を市が受理していなかったことが31日、分かった。市は内容を精査せずに「事実がない」と判断。今年8月に是正するまで、通報後も約8カ月にわたって誤支給を続けていた。

 公益通報制度は、勤務先で法令違反が生じていることを処分権限のある行政機関に通報する仕組み。自身の初任給が規定よりも高く設定されていることに気付いた市職員が20年11月19日、窓口である市人事課に電子メールで通報した。正しい算定方法を具体的に記載し、同じ方法を採用している宮城県の給与規則を添付した。
 市からは同年12月18日、「通報対象事実に該当しないものと判断し、受理しない」と人事課長名のメールで回答があった。不受理の理由について、市人事課の幡江健樹課長は「当時は誤算定とは思わなかった」と説明する。
 市の給与規則で初任給を定めている条項はA4判1枚程度の分量。通報した職員は「規則を読んでいなかったのでは」といぶかる。幡江課長は「規則を読んでいたかどうかは言えない。結果として誤って解釈してしまった」と釈明する。
 市は15年度以降、15人の初任給の算定を誤っていた。9人が基準を下回り、累計約910万円が過少に支払われていた。6人は逆に高く設定され、本来の金額との差額は計130万円だった。市は「内部の問題」として誤支給の事実を公表していなかった。

河北新報 2021年09月01日 06:00
https://kahoku.news/articles/20210831khn000041.html