日本政府は13日、新型コロナウイルスのワクチン接種を2回終えた人が日本の人口の半数を超えた、と発表した。

世界各国にならって感染拡大を抑えるためにワクチン接種を進めることを推進してきたが、2回接種した人の割合が日本より10%ほど高いドイツは
「事実上のワクチン義務化社会」を目指し、ある施策を打ち出した。ドイツ在住の了戒美子さんが「ドイツの今」から見える「日本の未来」を予想した。

去る8月10日、ドイツ政府が新型コロナワクチン接種促進のため、10月11日付で無料の新型コロナ検査の提供を打ち切ると発表し大きな話題となった。

ドイツではとにかく検査が重要視されており、新型コロナ検査のうち、抗原検査については無料で行われてきた。
抗原検査やPCR検査は薬局や民間の検査場で受けることが可能で、検査場は都市部では感覚的には日本のコンビニエンスストアと同じかそれ以上に多く、乱立といっていいほどだ。

抗原検査は迅速検査とも呼ばれ、早ければ数十分程度で結果が出る。検査は鼻の奥や頬の内側の粘膜をから検体を採取。
ものの数十秒で終了する。結果はe-mailやショートメールで受け取り、そのデータをそのまま店頭で示したり、アプリに取り込んだりする。非常に手軽で簡単だ。

検査場は繁華街で飲食店の横にあることも多く、検査を受けその結果を持って飲食店に向かう、ということも可能だ。
検査結果は48時間有効。この抗原検査を有料化するということは事実上ワクチンを義務付けることとほぼ同じ意味を持つ。

ドイツでは、各種防疫措置は7日間指数を元に決められる。7日間指数とは過去7日間の人口10万人当たりの新規感染者数のことで、9月13日時点でドイツ全体で81.9を記録している。

行動制限は各州令によるが、欧州最大級の日本人コミュニティを持つことで知られるデュッセルドルフを州都とするノルトラインヴェストファーレン(NRW)州の場合、
現在この7日間指数が35以上の場合に適用される3Gルールというものが適用されている。

3Gとは、ワクチン接種者(geimpfte)、感染からの快復者(genesene)およびコロナ検査の陰性証明保持者(getestete)の
それぞれの頭文字をとったもの。ワクチン接種者と快復者だけを指して2Gという。ワクチン摂取状況については、手書きの冊子か、
携帯のアプリで管理する。これも店側が目視したり、QRコードを読み込んで使う。

現在、適用されている3Gルールでは、ワクチン接種者と快復者(2G)に関しては行動制限はない。
2Gに当てはまらない場合は、屋内イベントや、レストランの屋内部分、美容室やマッサージ店、ホテル、屋外での2500人以上参加の大型イベントの参加は
抗原検査陰性が必要。クラブやディスコでは抗原検査ではなくPCR検査陰性が必要で、老人ホームや病院などについては7日間指数が35以下であっても3Gが必要になる。

就学児童、生徒は学校で週に2度、義務的に検査が行われているため検査済みとみなされ、3Gの証明には就学証明を提示する。
また、マスク着用は屋外の場合基本的には求められないが、屋内では2Gでも義務のまま。

許可されているのは医療用のサージカルマスクもしくはFFP2のみで、日本で流行しているようなウレタンマスクではスーパーにも入店できないし電車にも乗れない。

上記から分かる通り、検査を受ける手間は多少かかるが、抗原検査が無料であれば、生活上不便をきたすような行動の制限はほとんどない。
昨年11 月に始まったドイツのロックダウンは、完全に解除されたわけではないが、これ以上飲食店や商店の閉鎖などの感染拡大抑制策を行うわけにもいかず、
ワクチン接種率アップをひたすら狙っているところだ。

抗原検査有料化が発表された時点ではワクチン接種完了者は55パーセント程度だったが、
現在では62.2パーセント(18歳以上は72.9パーセント)にまで伸びている。


抗原検査有料化を前に、現実的にはワクチン未接種者にとっての行動制限は少しずつ始まっている。
https://friday.kodansha.co.jp/article/205649