PRESIDENT Online 10.2
https://president.jp/articles/-/50500
職場は常に空気がギスギスしている

(略)
■「MARCH卒の連中がガンガン数字をとってくる」
 「客から受けるストレスもあったけど、社内で成績を評価されるのもキツかったね。俺が並の数字しかあげられないなかで、MARCH卒の『学生時代はイベサー(イベント系サークル)やテニス部でひたすら楽しんでいました』みたいな連中が、口のうまさと体力に任せてガンガン数字をとってくるんだよ」

 幼稚園児みたいな文章を書く人たちが、しかし実際のところ、営業部では大活躍しているという。

 「連中はろくに読み書きができない。でも、人に頭を下げることが苦でないし、愛想もいい。おべんちゃらも使える。愉快なトークもできる。理不尽なパワハラをスルーするスキルも高い。だから、客を簡単に口説き落として融資を取り付けてくるし、保険もたくさん売ってくるんだ。

 ウェイ系っていうのかな。銀行って転勤が多いから歓送迎会も多いんだけど、そういう飲み会で場を盛り上げるもの彼らだよね。彼らがいい年して二十歳のガキみたいに『ウェーイ!  ウェーイ! 』って騒いでいるとき、俺みたいなのは端っこで静かに目立たないようにしているよ」

 要は、そういう人たちはコミュニケーション能力が高く、会話における反射神経がすごくいいのだ。

 往々にして場の空気を読む能力にも長けているので、軽快なトークで重苦しいシーンをパッと明るくさせることも得意である。

 「俺らって人と会話するときにむちゃくちゃ頭を使うじゃない。会話のキャッチボールで一球投げるごとに、頭のなかにある情報をすべて引っ張り出して、検討して、最善だと思われることを話そうとするよね。でも、テンポの速い会話でそんなことをしていたら情報処理が追いつかない。

 俺なんかは訪問営業をする前に、想定される会話をぜんぶ紙に書き出してみて、場を和ませる冗談まで考えて、それらを暗記してから行くのよ。

 でも、生粋のソルジャーは営業トークが脊髄(せきずい)反射でこなせてしまう。日常会話をするだけで、連中には単純にコミュニケーション能力ではかなわないと思い知らされるね」

■「天下の東大の数字がなんでパッとしないの?」
 僕たちは論理的な読み書きといった言語スキルは高いが、他人との会話やコミュニケーションといった対人関係スキルでは世間の平均値にもおぼつかない。

 「話が面白くない」「難しいことしかいわない」「一呼吸でしゃべりすぎ」「人の気持ちが分かっていない」「なにを考えているのか分からない」「態度が冷たい」「協調性がない」「挙動が不審」……これらは、僕たちがなにかにつけて言われてきた言葉である。

 もし今この本を読んでいるあなたが東大生や東大卒業生なら、身に覚えのある人もいることだろう。

 僕たちが独りで机に向かってシコシコと受験勉強をしていたときに、大勢の人間と一緒に運動したり遊んだりしながら対人関係スキルを磨いていた人たちがいる。

 東大から社会に出てはじめて、僕たちはそのことに気づくのだった。

 「民間企業は稼いでなんぼでしょ。そんな職場で、まともな文章一つ書けないバカだと思っていた連中が、俺なんかよりずっと稼いでくる。

 営業成績が張り出されて、みんなの前で上司に『短大出のあいつがあれだけの数字をあげているのに、天下の東大を出ているお前の数字はなんでパッとしないの?  やる気が足りないのかな? 』なんて詰められると、プライドはズタズタだよね。今でも思い出すだけで死にたくなる」

 並程度の営業成績をあげられなかった加瀬くんは、大勢の同僚の前で上司から何度も叱責を受けた。並の成績ならそれでよさそうなものだが、東大卒というだけで要求される数字が大きくなるのだという。

 結局、学歴があるうえで数字もあげる人間が銀行のメインストリームで出世していく。

 「ただ、そういう人は『スーパースター』のようなもので、並の東大卒よりも明らかに能力が高い。俺なんかは有象無象の東大卒だからね……いや、人よりもずっと根性がないから、東大卒としては底辺かな。だから、営業仕事のキツさにメンタルがもたなかったんだろうね」

 加瀬くんは自虐めいてそう言った。
(長文の為以下略)

★1:2021/10/03(日) 10:19

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