沖縄県東村高江周辺での米軍ヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の移設工事の警備を巡り、愛知県警が警察官を派遣したのは違法な公金の支出だとして、県民193人が大村秀章知事を相手取り、約1億3000万円の損害賠償の支払いを当時の県警本部長に命じるよう求めた住民訴訟の控訴審判決が7日、名古屋高裁であった。倉田慎也裁判長は請求を棄却した1審・名古屋地裁判決を変更し、「専決処分による派遣は違法」として、県警本部長に約110万円を賠償させるよう命じる判決を言い渡した。

 判決はまた、住民が抗議活動に使った車両やテントを警察側が強制的に撤去した行為について「法的根拠は見当たらず、違法である疑いが強い」と指摘した。

 訴状によると、愛知県警は2016年7〜12月、沖縄県公安委員会の要請を受け、愛知県警本部長の専決により警察官を派遣。これが違法だとする原告側の主張に対し、1審判決は「決定後10日以内に公安委員会に報告し、承認を得ており、手続き的に違法とはいえない」として請求を棄却していた。

 控訴審判決は公安委への報告について「単に報告されたに過ぎず特段の意思決定行為があったものではなく、追認を行ったものと評価することはできない」と指摘。その上で「公安委の実質的意思決定に基づくものと認められず、専決で処理することが許されないものを専決しており、違法であるといわざるを得ない」とし、16年7〜11月分の時間外勤務手当として支払われた計約110万円が損害に当たると認定した。

 判決後に記者会見した原告側弁護士は、専決処分による派遣を違法と認めた判決について「警察活動の暴走に裁判所がチェック機関として役割を果たした勇気ある判断だ」と評価。車両などの強制撤去について違法の疑いが強いとした点については「初めての判断で大きな前進だ」と喜んだ。

 愛知県警監察官室の萩原生之室長は「判決内容を検討した上で、今後の対応を決める」とコメントした。【藤顕一郎】

10/7(木) 20:38配信 記事元 毎日新聞
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