若者の投票率が低い背景の一つに、「政治に期待できない」との無力感が漂っていると指摘される。新型コロナウイルスで強いられたさまざまな我慢により政治に関心が向くのではとの期待感もあるが、識者は教育や選挙制度自体の見直しが必要と語る。

 「諦めにも似た雰囲気が有権者を覆っている」。東京工業大の西田亮介准教授(38)=社会学=はこう考える。注目するのは内閣府が毎年行う世論調査。1980年代に設けられた「国の政策に民意が反映されていると思うか」の回答は、一貫して「反映されていない」が「されている」を上回る。2020年は「いない」が7割近くに上った。

 20代の投票率は前回17年の衆院選が33・85%。1970年代の半分まで減った。学生運動があり政治との距離が近かった世代に対し、今の若者はこの距離が離れてしまった。西田氏は原因を「政治的中立を重視しすぎる教育」とみる。「投票率が50%を割り込むと投票に行く人が『例外』になり、選挙制度が本来想定していた状況ではない」と危機感を抱く。

 12年から続いた第2次安倍政権の「1強」と言われる不均衡な政治バランスが、低投票率に拍車を掛けた、との見方もある。

 九州大法学研究院の嶋田暁文教授(48)=行政学=は「『どうせ政治は変わらない』と投票に行かない人が増え、それが変革の機会を失わせる悪循環が起きた。1票の行使の大切さが認識されていない」と分析する。旧民主党が政権を手にした09年の衆院選で69・28%だった投票率は、安倍政権下では50%台で推移した。この間、賛否が割れる重大な法案を政権が押し通す場面が繰り返されたことも影響したと考える。

 投票率アップに向けて西田氏が提案するのが、政治参加を促すために衆院選の被選挙権(25歳以上)の18歳への引き下げ、供託金(小選挙区300万円)の廃止、政治教育の見直しなどだ。「若い国会議員が誕生すれば、関心を持つ同世代も増えるはず。学校ではもっと現実的な政治問題で議論することが大切だろう」と話す。

 コロナの影響で実生活と政治の結び付きを実感した若者は少なくない。嶋田氏は「生活苦などを経験した若者たちが投票に行けば、状況は変わってくる」と呼び掛けた。

 (一瀬圭司)

西日本新聞 2021/10/31 6:00
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