愛知県豊田市内の放課後児童クラブで、支援員の責任者を務める元市立小学校長の70代男性が、児童に威圧的な発言を繰り返すなど、人権上の配慮を欠く不適切な対応をしていたことが分かった。市は、クラブの運営を委託している社会福祉法人・大和社会福祉事業振興会に対し、男性を現場からいったん外し、改善するよう指導した。すでに男性は現場から外れているという。

 市によると、男性は、児童らに乱暴な言葉遣いで大声を上げるなどし、市には今年度、保護者から苦情の電話が4件あった。児童と保護者への定期的なアンケートでも「怖い」といった声があり、市は数回、振興会に指摘をした。振興会は「都度、指導したが改善に至らなかった」と説明。男性の暴力などはなかったが、通所をやめた児童もいるという。

 市の求めに応じて振興会は今月8日、長屋太志理事名で改善報告書を提出したが内容が不十分と判断され、12日に再提出した。問題の原因を「子どもの人権に対する配慮、人格を尊重した育成支援の意識が欠如していた」とし、子どもの人権や虐待に関する緊急職員研修の実施など再発防止策を挙げている。

 振興会は、市内に計71あるクラブのうち21クラブで子どもを預かり、市教育委員を2011年から8年間務めた元校長が、市との委託契約の窓口となる統括責任者を務めている。

 市は直営2クラブ以外の運営を6事業者に委託しているが、振興会のほかに同様の問題はないという。(中川史)

朝日新聞 2021年11月16日 9時38分
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