※NHK 関西のニュース

大阪 西成区 閉鎖の支援施設から路上生活者ら立ち退き命じる
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20211202/2000054575.html

12月02日 18時02分

老朽化で建て替えが決まっている大阪・西成区の日雇い労働者の支援施設が閉鎖されたあとも、敷地内に残っている路上生活者らに対して府が立ち退きを求めた裁判で、大阪地方裁判所は、「土地の占有によって適切な管理や工事が妨げられている」として、立ち退きを命じる判決を言い渡しました。

老朽化による建て替えが決まっている大阪・西成区の労働者の支援施設、「あいりん総合センター」をめぐっては、おととし4月、管理する国と府が労働者らを退去させ、建物を閉鎖しましたが、いまも敷地内のシャッターの周囲に、およそ30人の路上生活者らが残っています。
これについて、府は去年4月、立ち退きを求める訴えを起こしました。
2日の判決で、大阪地方裁判所の横田典子 裁判長は、「センターは労働者らが段ボールを敷いて体を休めるなど、労働者らの生活の拠点として認識されていた。府も生活保護の受給申請を含む支援につなぐ試みをするなど一定の配慮をしていたことが認められる」と指摘しました。
そのうえで、「閉鎖後の路上生活者らの土地の占有は、府による適切な管理や建て替え工事に向けた適正な利用を妨げている」として、立ち退きを命じました。

【生活者“行く所ない”】。
今回の裁判で立ち退きを求められたひとりで、路上で生活している60代の男性は、判決を前に「仕事も行く所もないからここにいる。建て替えを阻止する気持ちがあるわけではなく、建物が解体されるのであればほかの場所に移るしかない。行政に求めることはないし、判決も裁判所が決めるもので自分には関係なく、思うこともない」と話していました。

【代理人の弁護士 控訴する】。
判決のあと、会見を開いた路上生活者らの代理人の武村二三夫 弁護士は「残念な判決だ。判決が確定するまでは強制退去させられることはないので、裁判所の良心は感じた」と話し、控訴する考えを示しました。

【大阪知事“妥当な判決”】。
判決について、大阪府の吉村知事は「府の主張が認められた妥当な判決だ。耐震性を備えていない建物を一日も早く撤去し、新施設を建設できるように進めていきたい」とコメントしています。