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2021年11月29日、政府の就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議は、2024年春に入社する現在の大学2年生の就職活動のスケジュールについて、採用広報活動を大学3年生の3月以降、採用選考活動を4年生の6月、正式な内定日は4年生の10月以降とすることを決定した。2022年3月をめどに経済団体にルールを順守するよう要請する。

■早期化、長期化、分散化する就活
簡単に言うならば、ここ数年と変わらない日程ということになる。要請した日程自体は変わらないが、就活スケジュールはますます、早期化、長期化、分散化が並行して進むことになるだろう。

大学1、2年生から一部の学生はインターンシップに参加し、3年生にはいるとそれがより本格化し、3年生の夏〜秋に早期内定が出るが、活動を続け、4年生の秋を目処に入社する企業を決める。とはいえ学生によりスタート時期が異なる。

学生たちは、講義と講義の間の空きコマでインターンシップや企業説明会、オンラインでのOB・OG訪問に参加できる。選考もオンラインで進んでいく。よく言うとマイペースで就活できる時代になったとも言える。

■一部の学生に内定が集中した結果…
しかし、オンラインでは実感が持てないこと、新型コロナウイルスショック時代を生き抜くことができる企業かどうか見極めたいため、早めに内定が出ても自分が働く上で大事な軸が見つからないことなどから、学生は就活を続ける。企業もこれまでのように、社員の対面での面談などで学生を口説き落としたり、つなぎとめることもできない。

内定者懇親会や、研修という名の拘束合宿もできない。結果としてコロナ前以上に一部の学生に内定が集中する上、内定辞退が多発する。これが、今の就職戦線で起きていることであり、今後もそうなるだろう。

もっとも、大学生活がリモート化していることもあり、周りの学生の動きがよくわからない。以前は、周りの学生が髪を黒く染め、リクルートスーツで大学に現れていたので「俺もそろそろやらなくちゃ……」となっていたものだ。

■学生の就活環境はむしろ改善?
この時期も格好も横並びであることは批判されてきたが、いざ横並びでなくなると、ペースがわからず困る学生もいる。「いつから、何から始めていいのかわからない」コロナ後の就活生の悩みである。コロナで気持ちが落ち、民間企業就職を希望していても、一歩、前に進めない学生もいる。

結果として、企業からみると、新型コロナウイルスショックの影響で求人倍率は悪化したものの、売り手市場かのように見えてしまう。

学生と企業が対等な関係で、双方向で理解を深め、意思決定をする。これが、1990年代なかばに「リクナビ」ができた際に、理想として掲げられた就活像だった。なかなかそうはならなかったが、コロナ時代になり、オンライン就活になった上、“隠れ売り手市場”になったがゆえに、学生の就活環境はむしろ改善している点もあるとみることもできる。

以前は経団連が、今は政府が事実上取り決めているこのスケジュールは学生が利用する「就職ナビ」などのオープンスケジュールなどに影響を与えるという意味で無力ではない。ただ、企業が必ずしも順守しているわけではない。とはいえ「形骸化」と言い切れるかというと、これも必ずしもそうとは言えない。このような目安があるからこそ「青田買い」「フライング」の基準が明確になるとも言える。

■就活スケジュールは以前に戻ったのか
そもそも、我が国の就活の歴史は時期論争の歴史だった。10年前からその論争は続いていた。2022年卒の学生たちは、一部で就活が「超早期化」していると言われていた。ただこの問題は、今に始まったことではない。とりわけ2010年代は、就活時期の模索が何度も行われた。

2012年12月。安倍晋三元首相が2度目の内閣総理大臣に就任して以降、円安誘導などを図った「アベノミクス」の中で学生たちの就活が見直された。2013年4月、安部元首相は経済団体に対して2016年卒からの就活解禁時期を大学3年生の3月からと要請。経済界はこれを受け入れた。以前は大学3年生の10月や12月だった。

背景にあったのは、就活の早期化、長期化に対する問題意識だ。2000年代にさかのぼると、各社の就職サイトがオープンするのは3年生の10月。会社説明会も同時に解禁され、4年生になったばかりの4月に選考が行われていた。

■「学生のため」の施策のはずが…
3年生にもなるとインターンシップが始まり、大学生活の後半は就活一色ともいえる状況だった。卒業に必要な残りの単位を取得したり、卒業論文を書くのに支障が出る。
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