国土交通省が建設業界の受注実態をまとめ、毎月公表している「建設工事受注動態統計調査」について、平成25年度から実態よりも過大な数値になっていたことが15日、分かった。同じ業者の受注実績を二重計上する形で推計していたことが要因。この統計は国の経済政策の判断材料となる国内総生産(GDP)の算出などにも使われ、影響が及んでいる可能性がある。今年4月以降は処理方法を是正し、過大になった可能性のある期間の一部は参考値として再集計した。

同調査は全国の業者から抽出した約1万2千業者を対象とし、受注実績が記された調査票を都道府県が毎月回収。それを基に国交省が建設業全体の受注動態を推計、公表している。

この統計をめぐっては、9月に会計検査院が不適切な統計処理を指摘したことで判明。具体的には提出期限に間に合わなかった業者が過去の月分をまとめて提出したケースで、この複数月分全てを提出月の受注実績として合算するよう都道府県に指示していた。提出月分以外の調査票は記載内容を消去させていた。

一方、業界全体の統計とするための毎月の推計作業で、国交省は25年度以降、未提出の業者でも受注実績をゼロとせず、他業者の数値をもとに全体を算出するルールを用いていた。この値に後から遅れて提出された調査票の数値もそのまま合算月に加えたため、二重計上が生じたという。

国交省の担当者は「結果的に重複計上になっていたが、当時は問題だと思っていなかった」としている。
https://www.sankei.com/article/20211215-YBUPY6Y3ZFOLNKIZZUIJC7SXNI/