イギリスの研究


英スコットランドの研究では、新型コロナウイルスと、最終的に入院が必要になった人の数を追跡。オミクロン株の症状がデルタ株と同様だった場合、
すでに47人が入院しているとの予想が導き出された。しかし現時点では、実際の入院患者は15人にとどまっている。

研究者たちは、オミクロン株に感染して入院治療を必要とする人の数が、他の変異株と比べて約3分の2少ないと指摘。
ただ、研究の対象となった症例数は非常に少なく、重症化リスクのある高齢者の感染もほとんど含まれていないとした。

スコットランド公衆衛生庁(PHS)の新型ウイルス感染症COVID-19担当、ジム・マクメナミン博士は、この研究結果は「条件付きのいい知らせ」だとした。
マクメナミン博士は、このデータは入院の防止をめぐる疑問に「答える」ものだとしつつ、「先走らないことが重要」だと注意を促した。

オミクロン株は驚くほど急速に拡大しているため、感染者が増えれば、オミクロン株の症状が軽い場合のメリットが帳消しになる可能性がある。

英エディンバラ大学のマーク・ウールハウス教授は、「大多数の人にとって、個々の症状は比較的軽いかもしれない。
だが、こうした感染が一度に発生して英国民保健サービス(NHS)に深刻な負担をかける可能性はある」と述べた。


南アフリカの研究


南アフリカの研究でも、オミクロン株の感染の波が、他の変異株よりも穏やかであることが指摘されている。

オミクロン株と、過去の感染の波あるいは現在流行しているほかの変異株を比較したところ、
病院での治療が必要になる確率が70〜80%低い可能性があることが示された。

一方で、入院患者が重症化する割合は他の変異株と同程度だったという。

「我々のデータは、オミクロン株の重症度が他の変異株と比較して低いという、ポジティブな見通しを示唆している」と、
南ア国立感染症研究所(NICD)のシェリル・コーエン教授は述べた。

オミクロン株の基本的な性質と、ワクチン接種や過去の感染によって獲得した高い免疫力が組み合わさることで、重症度の低下がみられていると考えられている。

英インペリアル・コレッジ・ロンドンのオミクロン株分析では、同株の症状がデルタ株よりも軽いことが示唆されている。

研究者たちは、過去に免疫を獲得していない人がオミクロン株への感染で救急外来を利用する可能性は、デルタ株よりも11%低いとしている。
ただ、イギリスではワクチン接種率や感染率が高いことから、この分析はほとんどのイギリス人には当てはまらない。

一方で、集団免疫を獲得した場合では、オミクロン株への感染で救急外来を利用する可能性は25〜30%低くなる。
また、1日以上の入院が必要となる確率も約40%低いという。

イギリスの研究に携わったインペリアル・コレッジ・ロンドンのニール・ファーガソン教授は、「いくぶんかは、明らかにいい知らせだといえる」と述べた。

しかし、病院にかかる確率が低いからといって「このモデリングを劇的に変えるには十分とはいえない」とした。
そして、オミクロン株の拡大スピードを考慮すると、「入院患者の数が、NHSを困難な状況に追い込むほど増える可能性は残されている」と警告した。

インペリアル・コレッジ・ロンドンの免疫学者、ピーター・オープンショー教授は、初期の兆候ではオミクロン株がそれほど深刻ではないことが示されていたとしつつ、
新型ウイルスが「普通の風邪に変化しただけ」であることを今回発表された3つの研究結果が示しているとするのは、「間違った解釈」だろうと指摘した。
https://www.bbc.com/japanese/59751506