2021/12/27 09:08

 「柔らかく、肌触りのいいガーゼなのにもったいない」――。

 安倍内閣が新型コロナウイルス対策で配った布マスク。多額の調達費用や配布の遅れから「アベノマスク」と 揶揄やゆ され、今年3月現在の在庫は約8200万枚にのぼる。岸田首相は今月21日、有効活用したうえで、残りは今年度内に廃棄する方針を示した。

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 22日の読売朝刊の記事でこのことを知った兵庫県川西市の女性(85)は自宅にあった布マスクの糸をほどいて、縦26センチ、横64センチのガーゼ地に戻した。20歳代から大阪や神戸で洋服のデザインや縫製に携わり、見る目は確かだ。「市販のガーゼより、織り込まれている糸が多く、布地がしっかりしている」。子どもが生まれた時のことを思い出しながら、約2時間かけて5枚を使い、手縫いで赤ちゃん用の産着に仕立てた。

 「アベノマスク」については「大人用には小さすぎるし、頭のいい人たちが考えたことなのかしら」と手厳しい。一方で、「マスクに罪はない。みんなで 活い かす方法を考えないと」と前向きの姿勢を見せる。

 「布用絵の具で子どもに自由に絵を描いてもらえば、愛着がわくマスクができる。友だちと見せ合うこともできるでしょう」と、アイデアは尽きない。寒さは厳しくなったが、福祉関係の団体を回り、産着づくりなどの活用を呼びかけるつもりだ。(高部真一)

https://www.yomiuri.co.jp/national/20211227-OYT1T50007/