■ 強く抗議できない日本

 極端にいえば、生物兵器を撒かれたようなものだ。「貧者の核兵器」とも呼ばれる生物・化学兵器だが、実際に2002年に中国でSARS(重症急性呼吸器症候群)が発生して、翌年に感染拡大したときには、中国で開発中の生物兵器が研究施設から漏れ出したのではないか、という憶測まで流れていた。さすがに今回の新型コロナウイルスについては、米国の情報機関が生物兵器として開発されたことを否定している。だが、かつてオウム真理教が炭疽菌を培養して撒布を企てたように、既存の細菌やウイルスも生物兵器として利用できることは歴然としている。

 今月5日、記者会見に臨んだ中国外務省の汪文斌副報道局長は、沖縄県で在沖縄米軍由来の新型コロナウイルスのオミクロン株が広がったことに関し「海外の駐留米軍は(感染を一気に広げる)スーパースプレッダーになっている」と批判してみせた。だが、そんなことは中国に言われる筋合いのものではない。とんだ笑いぐさだ。

 とはいえ、米軍の対応は新型コロナウイルスを世界に拡散させた中国を笑えないものにさせる。安全保障どころか、日本に災禍をもたらす。再三の要請にも具体策を示さず、地位協定をいいことに米国内と同じように振る舞う。まるで従属国のようなあしらい。

 これが同盟国のすることだろうか。それに厳然たる抗議もできない日本も同盟国と言えるのだろうか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e3e97cd801b0243b888e160136cb121033f734b6