※2022年02月07日07時13分

 多額の消費税の不正還付を受けたとして、イベント企画会社社長が1月下旬、東京地検特捜部に逮捕された。社長は展示用の猫の仕入れ代金として30億円近くを架空計上し、消費税2億円弱を還付申告。実態と懸け離れた不正申告がなぜ見過ごされたのか。背景には還付審査の現場が抱える「ジレンマ」がある。

 消費税法違反容疑で逮捕されたのは「LA・Chatte」(東京都中央区)社長、鄭末広容疑者(70)。関係者によると、同容疑者はアメリカンショートヘアなど人気のある血統書付きの猫約350匹を購入したと申告。1匹の価格は数百万円で、中には1000万円としたものもあった。

「ねこ展」企画会社社長を逮捕 消費税不正還付容疑―高価な猫仕入れ装う・東京地検

 実際には猫は存在せず、血統書は使い回しだった。同社の売り上げは多い年でも6000万円程度で、捜査関係者は「仕入れたとする数も単価も事業規模に見合わない」「ばかげた話だ。なぜ還付してしまったのか」と口をそろえる。
 消費税は、仕入れ時に支払う税額が売り上げに掛かる税額を上回ると、差額の還付を受けられる。事業者は取引先や金額などを記した書類を提出し、税務署が整合性を審査。不審点があれば還付を止め、帳簿の提出を求めたり、事業所を訪ねたりするが、書類だけで不正を見つけるのは難しく、申告件数は年間約20万件に上るため全てを調査するわけにもいかないという。
 一方で、還付が遅れれば納税者に迷惑が掛かる上、利子相当の「還付加算金」を払わなければならない。申告内容の精査と速やかな還付が同時に求められる現状に、国税幹部は「両立は容易ではない」とジレンマを明かす。

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時事通信ニュース: 消費税還付、審査に限界 見過ごされた「猫30億円」―不正警戒で体制強化・国税当局.
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022020600280&;g=soc