2022.2.10

佐藤 大介
ワードストライク代表取締役

 バレンタインデーにおける義理チョコの代名詞といえば有楽製菓の製造するブラックサンダーだろう。価格は1個30円(税別)。甘いミルク風味のチョコレートとビターなテイストのクッキーが織りなす味と食感のマリアージュ。安価な菓子ながら多くのファンが存在する。

「一目で義理とわかるチョコ」というキャッチコピーを掲げて、義理チョコといえばコレといった確固たる地位を築き上げたブラックサンダー。しかし、義理チョコ文化に支えられてきたが、2021年にはそんな「煽り」を行ってきたことについて謝罪をしたいというスタンスに転じた。どのような変化があったのか。有楽製菓社長の河合辰信氏を直撃し、真相を聞いた。





打倒チロルを掲げた由々しき事態

河合辰信(かわい・たつのぶ)氏
1982年生まれ、愛知県豊橋市出身。横浜国立大学大学院修了後、外資系企業を経て、2010年有楽製菓入社。入社後はマーケティング部の立ち上げを行い、独自色の高い広告やプロモーションでブランド認知を高めた。2018年から現職。(写真=稲垣純也)

今でこそ義理チョコ=ブラックサンダーというイメージが定着していますが、昔は「チロルチョコ」のイメージが強かった気がします。ブラックサンダーが義理チョコで突出するまで、どういった経緯があったのでしょうか。

河合辰信・有楽製菓社長(以下河合氏):有楽製菓は、1994年発売のブラックサンダーを主力商品としつつ、兄弟商品のビッグサンダーやロングセラーのデラックスミルクチョコレートなど、チョコレート菓子を中核に成長を続けてきました。

 10年ほど前のことです。会社の経営状況を見ていたところ、月別の売上高は12月が一番高かった。これは年末年始に工場が休むという事情があり、多めに年末の出荷をするためです。冬はチョコレートが溶けにくく、おいしく食べられる季節なのでそもそも売れる時期でもあります。ただ、国内のチョコレート業界が最も熱くなる時期である2月に、そこまで大きな山をつくれていなかったのです。

バレンタイン商戦に絡めていなかった。

河合氏:そうなんです。バレンタインにどうにか自社のチョコを売りたい。主力商品を推すしかない。ただ、ブラックサンダーは1個30円くらい。

 ひいき目に見ても、本命にはなれない。

 本命として渡されても、誰も納得してくれません。ならば、義理チョコではどうか、と。ただ、義理チョコをめぐって、当社でも由々しき問題が発生していました。

詳しく聞かせてください。

河合氏:チョコレート菓子が主力商品の当社でも、社内で義理チョコとして「チロルチョコ」が配られていたんです。これは異常事態です。

現実は甘くなかった。
     ===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/020800322/
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/020800322/?P=2