※千葉日報

「お尋ね者」高級皮革に 特定外来生物 キョン 千葉県内で急増、活用模索
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2022年3月6日 05:00 | 無料公開

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千葉県内で急増しているシカ科の特定外来生物「キョン」(Hunt+提供)
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千葉県内で急増し、農作物被害が深刻化しているシカ科の特定外来生物「キョン」の革を有効活用しようと、地元の業者や猟師が奮闘している。捕獲後は殺処分されるのがほとんどで、命を粗末にすることに疑問を抱いていたところ、キョン革のつやのある性質に着目。「お尋ね者」を高級品に生まれ変わらせようと試行錯誤を続けている。

 県自然保護課によると、キョンはもともと中国や台湾に生息し、国内では他に伊豆大島(東京)でも確認された。県内では1960〜80年ごろ、勝浦市の観光施設から逃げ出した個体が繁殖したとされる。

 県内の生息数は2006年に推定約9200頭、20年には5万頭超に。市原市やいすみ市といった県中南部に広がり、畑の野菜や住宅の庭の花が食い荒らされる被害が増えているという。

 県は09年に防除計画を立てて対策に取り組み、一部で成果も出始めた。ただ、捕獲後の個体はほとんどが廃棄されてきた。そこで「命のありがたみを伝えなければ」と立ち上がったのが自身も猟師で、いすみ市でキョンなどの狩猟体験を提供する「Hunt+」の石川雄揮社長(44)だ。

 キョン革は、鹿革の3倍以上の強度で繊維もきめ細かく、台湾では高級品とされる。革に漆で模様をあしらった財布などが人気の伝統工芸品「印伝」は、大半が中国から輸入したキョン革が使われていることに着目し、初の国産印伝を開発。「房州印伝」と名付けて売り出し、商標も出願している。

 柏市で東大大学院生らが運営する「手作り科学館Exedra」でも、キョン革のブレスレットをつくるワークショップを21年8月から始めた。駆除された害獣を学びの場で活用し、命の大切さを考えてもらうのが狙いだ。同大学院OBの羽村太雅館長(35)は「獣害は餌付けなど人間が原因であることも多い。根本解決には意識と行動を変える必要がある」と語る。

 柏市は21年春から、ふるさと納税の返礼品にキョン革のマネークリップを追加。キョン被害を県外の人にも知ってほしいとの思いからだが、同年中の申し込みはゼロだった。それでも、製造を担う地元の革製品製造販売「柏レザー」の飯島暁史社長(45)は「実際に見たり触ったりすれば質の良さが分かるはず」。

(略)

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