藤谷和広、大久保泰2022年3月8日 11時00分

 三陸の津波被害は他人事ではない。地震発生後、約20分で県沿岸に7〜8メートル級の津波が襲来する――。こんな県の想定もある。三陸では「てんでんこ」の言葉があり、地域に根付く。この言葉、皆さんは知っていますか、実践できますか。

 津波から身を守るには、いち早く逃げるしかない。

 その意識が問われたのが、今年1月15〜16日のトンガ諸島の海底火山噴火による「津波」だった。

 県内に津波注意報が出たのは16日午前0時15分。13市町村が避難指示を出した一方、銚子、富津、山武、九十九里、横芝光5市町は「堤防が整備され、住家に津波が来る恐れはない。深夜の指示でかえって混乱を招く」などと指示を出さず、判断が分かれた。

 津波注意報から約1時間15分後、最大波が到達した勝浦市。海岸近くに暮らす男性(73)は、「夜だったし、寒かったから、家で様子を見ていた。テレビで数十センチの津波と言っていたので大丈夫だろうと思い、避難しなかった」と振り返る。

 実際、同市で記録された最大波は40センチだった。

 ただ、県は近い将来、より大きな津波が来ると予想している。2016年に公表した想定によると、房総半島東方沖で30年以内に7%の確率で巨大地震が発生する。同市を7・2メートルの津波が襲い、県内で最も多い約2100人の死者が出る。最大波の到達時間は22分とされる。

 「今度みたいに深夜だったら、そんなに早く動けない」。海沿いに住む一人暮らしの女性(80)は嘆く。
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全文は下記URLで
https://www.asahi.com/articles/ASQ3773J9Q2WUDCB00D.html

 〈てんでんこ〉 「てんでばらばら」由来の方言で、津波の避難は1秒を争うため地震が起きたら周囲に構わず、早く1人で高台に逃げろという言い伝え。津波の被害に何度もあってきた三陸地方で、家族や集落の全滅を防ぐために語り継がれてきた。