東京都の「協力金」受け付け先送り…飲食店困惑「早く支給を」 まん防再延長で「一括申請」あだに

 新型コロナウイルス対策で時短営業に応じた飲食店に支払われる協力金で、東京都がまん延防止等重点措置の再延長に伴い、1度目の延長期間に当たる2月14日〜今月6日分の申請受け付けを先送りしている。再延長期間(7〜21日)分との一括申請にしたためで、都は店側の手続きの負担を減らせると説明。だが、苦境の飲食店や業界団体からは「必要なのは速やかな支給だ」と困惑の声が上がる。(坂田奈央)
 「6日までの区切りで、すぐ申請できると思っていたのに」。東京都千代田区の飲食店の男性店主(70)は嘆く。重点措置が適用された1月からは、夜の営業を止めランチ営業のみにしており、経営は苦しい。小まめな協力金の申請で対応するつもりだったが、その計画は狂った。
 今回の重点措置は1月21日からで2度延長された。東京都は当初の期限だった2月13日分までの協力金では、翌14日から申請を受け付けていた。だが、今月21日まで重点措置の再延長が決まると、1度目の延長分の申請を再延長分との一括申請に変更。延長分の申請開始は2週間程度、先送りされた形だ。

 一括申請にした理由について、都の担当者は「申請を分けて手続きの手間をかけるより、1回で受け付けて36日間全体の協力金を早く渡した方が事業者の利益になると考えた」と説明。手続きの回数が少ない方が、審査側の負担も少なくなるという。一方、埼玉、千葉、神奈川の各県はいずれも一括申請ではなく、1度目の延長分の受け付けを始めている。
 都の対応に対し、日本フードサービス協会(東京)の石井滋常務理事は「いただける分から速やかに支給してほしい」と指摘。「従業員を抱える小規模店は特に厳しく、銀行から融資を受けづらくなっているところもある」ためだ。
 一括申請への変更には、別の不満も出ている。都は1月から、1日当たり上限20万円の協力金の額に差をつけることで、酒類提供の有無や閉店時間を店側が選べる仕組みを導入。ところが、一括申請では、1度目の延長期間に酒類の提供を止めていた飲食店が再延長期間から販売すると、1度目の延長期間の分の協力金まで減額されることになった。
 インターネットの会員制交流サイト(SNS)でも、飲食店関係者から「(一括申請への変更は)後出しじゃんけんだ」と批判の声が上がる。

東京新聞 2022年3月15日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/165577?rct=t_news