2022.3.18

三田 敬大
日経ビジネス記者

 ロシアのウクライナ侵攻は、欧米や日本など主要国が大規模な経済制裁に乗り出したことで、世界経済に大ダメージ必至の事態となった。そんな先行き不透明ななかでも、株式市場では投資家が期待する逆行高銘柄が存在する。マーケットにはどんなシナリオが映っているのだろうか。

 今回、「日経マネー」編集部の協力を得て、侵攻後約2週間の国内上場企業の値動きデータを集計。上昇率の上位をリストアップした。規模の小さな銘柄は値動きがぶれやすいため、時価総額1000億円以上のいわゆる大型株を主な対象とした。

 下の表にあるように、上位の顔ぶれから浮かび上がるキーワードは、「ポストコロナ」「資源」「内需」だ。

https://cdn-business.nikkei.com/atcl/gen/19/00288/031800017/z1.jpg

 まず上昇率の上位には商船三井、川崎汽船、日本郵船の海運大手3社がそろい踏み。もともと新型コロナウイルス禍を背景にしたコンテナ不足で運賃が上昇傾向にあったことに加え、コロナ禍からの正常化が進むにつれ運賃が高止まりするとの期待がある。

 3社はコンテナ船事業会社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」に共同出資しており、そろって恩恵を受けやすいことも特徴だ。

 日揮ホールディングスやINPEX、千代田化工建設の人気は、ウクライナ危機によってロシア産の資源供給が滞るとの懸念を映す。調達の多様化ニーズが高まれば、資源開発自体やプラント建設を手掛ける企業が恩恵を受けるとの連想だ。DOWAホールディングスには、資源リサイクルの重要性が高まるとの期待も集まっている。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00288/031800017/?n_cid=nbponb_twbn

次ページ
自動車部品で目立つ下落
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00288/031800017/?P=2