厚生労働省が精神科医療での身体拘束の実施要件の緩和を検討している動きについて考える「身体拘束ゼロをめざす院内集会」が28日、参院議員会館(東京)であった。検査や処置のための身体拘束を認める方向で改定が検討されていることに対し、方向性を撤回するよう求める集会アピールを採択した。

 市民団体「精神科医療の身体拘束を考える会」(代表・長谷川利夫杏林大教授)の主催。会場とオンラインで約100人が参加した。

 厚労省は昨年10月から精神障害にも対応した地域包括システムの構築のほか、強制入院や身体拘束のあり方などを考える「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会」を開催。今夏のとりまとめを目指している。その中で、隔離・身体拘束を最小化する取り組みについても議論され、厚労省は身体拘束の実施要件を定めた厚労相告示の改定案を16日に開かれた第7回検討会で示した。

 現行の身体拘束の要件は@自殺企図または自傷行為が著しく切迫A多動または不穏が顕著B放置すれば患者の生命にまで危険が及ぶ――などと定められ、代替の方法がない場合に行うとされている。改定案は「多動または不穏が顕著で、かつ、放置すれば患者の生命にまで危険がおよぶ恐れがある、または検査・処置などを行うことができない場合」と規定し、これまでの要件を整理しつつ、「検査・処置」についての文言を新たに加えた。

 集会で、長谷川教授は改定案…(以下有料版で,残り530文字)

朝日新聞 2022年3月28日 20時30分
https://www.asahi.com/articles/ASQ3X6JNDQ3XUTIL03H.html?ref=tw_asahi