3月末に楽天モバイルの社長に就任した矢沢俊介氏が、朝日新聞のインタビューに応じた。
通信品質の改善のために屋内や地下でもつながりやすい周波数帯「プラチナバンド」を2023年までに割り当て、
利用を始められるよう総務省に求める方針を明らかにした。大手キャリアとして参入して2年。赤字が拡大する中、
携帯電話業界「ナンバーワン」に向けて意気込みも語った。

 ――楽天モバイルは21年12月期決算で約4千億円の赤字となっています。今後どのように黒字化をめざしますか。

基地局の整備計画をかなり前倒しした結果なので、悲観的な見方は全くしていません。お客様のつながりやすさが、より早く実現できた証しだからです。
むしろ「よくやった」という捉え方をしています。(KDDIから回線を借りる)ローミングを縮小するので、財務は今後改善していく。
23年度中には単月黒字を達成する見込みです。

お客様も日に日に増えていて、足元で500万件くらいです。1千万件、2千万件と早期に達成したいと思っています。
「加入者数でナンバーワン、つながりやすさでナンバーワン」は最低限達成しないといけない。自動車産業だと、日産に乗っている人もホンダに乗っている人も、
「日本一の車メーカーは?」と聞けばトヨタと言います。楽天モバイルもそう思ってもらえるのが、目標です。

「条件の悪いコースを走っている」

「つながりにくい」という利用者の声もあります。 総務省から割り当てていただいた周波数で、この2年間、歯を食いしばって基地局を整備し、
人口カバー率は96%にまで達しました。残りの4%、しっかり作りたいと思います。

ただ、第三者機関の調査でも、通信品質の満足度は最下位と評価されています。他社に対し、我々の周波数の割り当ては6分の1しかありません。
同じ100メートル走を走っているように見えますが、我々だけ非常に条件の悪いコースを走っています。 

2年間ずっと我慢してきましたが、もう我慢できません。さらなるつながりやすさを実現するために、
(他3社が独占する)プラチナバンドを23年内に利用し始められるよう、総務省などに要望していきます。
(競争の)条件が変わらなければ、本当の意味での4社体制とは言えないと思います。
楽天モバイルの参入で、携帯電話料金の市場価格は下がったとも評価されています。「国民にもメリットがある」としっかり説明して、政治の判断を仰ぎたい。
https://www.asahi.com/articles/ASQ476K3VQ46ULFA00S.html?iref=comtop_7_04