※2022/04/13 06:30ITmedia ビジネスオンライン

 高級食パンのブームが去ったと、今年に入ってよく報道されている。SNSには、高級食パンの店が潰れていたという“閉店情報”の書き込みも目立ってきた。

 実際、以前にできていた行列がなくなっていたり、飛ぶように売れていた商品が夜の帰宅時にまだ残っていたりと、1店当たりの売れ行きが鈍っていて、飽和点に近づいているのではないかと感じることがままある。

 参考までに、「開店閉店.com」という全国における店舗の開店と閉店をまとめたWebサイトを見てみよう。過去半年のパン・ベーカリーの開店と閉店は、2022年3月(開店56/閉店16)、同年2月(開店40/閉店10)、同年1月(開店32/閉店23)、21年12月(開店59/閉店50)、同年11月(開店66/閉店8)、同年10月(開店77/閉店14)となっている。

 パン・ベーカリーのカテゴリーには、高級食パン以外の業態も含まれてはいるが、おおよその傾向はつかめるはずだ。高級食パンを含めたベーカリーショップの出店意欲は相変わらず旺盛だが、閉店も少なくない。

 昨年12月の閉店が50店と多いのは、首都圏で39店を展開していた「HOKUO」チェーンが一斉閉店したからだ。HOKUOは1988年から小田急電鉄が長く経営してきたベーカリーで、総菜パン、菓子パン、サンドイッチが中心。駅前に店舗があったため、コロナ禍のステイホームにより電車に乗る人が減ると、大きな影響を受けた。なお、HOKUO店舗のうち小田急沿線の10店は、神戸の「ドンク」に譲渡されて、順次オープンする。

●駅前は苦戦

 同様に高級食パンも、駅前にある店は売り上げ減に苦しむ傾向がある。

 閉店した店のリストを見ていると、ベーカリープロデューサーで、ジャパンベーカリーマーケティング(横浜市)の岸本拓也社長が手掛けた店が目立つ。本記事では、岸本氏プロデュースの店舗群を“岸本ファミリー”と呼ばせてもらう。岸本ファミリーは「考えた人すごいわ」「どんだけ自己中」をはじめ、「あせる王様」「遅刻のすすめ」といったように奇抜なネーミングが特徴だ。岸本氏は閉店した数以上に開店させているが、大量閉店したブランドもある。

 岸本ファミリーでも、特に「あせる王様」は苦戦している。20年8月、千葉県船橋市に船橋店をオープンしたのを皮切りに、千葉県に14店にまで急拡大。しかし、21年12月に津田沼店、八千代緑が丘店、稲毛店、北習志野店、C・one店、ブレッドスタジアム検見川浜店と6店が一斉閉店している。千葉市内にあるC・one店は同年9月にオープンしてからたった3カ月、ブレッドスタジアム検見川浜店に至っては同年11月にオープンしてから1カ月しか持たなかった。

 「真打ち登場」は19年11月、東京の千駄木にオープン。その後、店舗を10店ほどにまで急拡大したが、今はまた1店に戻った。残りは全て閉店。

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