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■円の購買力は半世紀前の水準まで低下している

 いま日本円はかなり円安で、円の購買力は50年前の水準まで低下していると言われています。わずか10年ほど前、当時の民主党政権下で「1ドル=80円」前後で推移していたことを考えると、大きな変化です。

 それがなぜ「円安」になっているかですが、1つの理由として「アベノミクス」の影響であると考えて差し支えないように思います。

 「アベノミクス」とは何かを語るのは簡単ではありませんが、その最大の「売り」が、日銀による大規模金融緩和であることは間違いないでしょう。

 2012年末に第2次安倍政権が発足し、2013年3月に日銀総裁に黒田東彦氏が就任して以降、日銀は「大規模金融緩和」を実施しています。金融緩和とは、簡単に言うと、市中に出回るお金の量を増やす政策です。要するに、お金をたくさん刷っているわけです。

■アベノミクスの看板政策がもたらしたもの

 日本円をたくさん刷るとどうなるか。

 いわゆる「リフレ派」の人々の理論によりますと、円の「量」が増えれば、円の「価値」が下がることになります。円の「価値」が下がるとは、要するにインフレになるということです。

 安倍元首相や黒田総裁をはじめとする「リフレ派」の方々は、日本経済が低迷する原因は「デフレ」にあると考えました。よって、円をじゃんじゃん刷って、インフレにして、デフレから脱却すれば、日本経済は回復すると訴えていたのです。

 ただ、円をじゃんじゃん刷れば、為替相場はどう動くでしょうか。

 円の価値が下がるわけですから、当然、対ドルでの相場は「円安ドル高」になります。そのため、「アベノミクス」開始以降、日本円は大幅な円安となったのです。

 「アベノミクスとは要するに円安政策だった」と言っても過言ではないでしょう。

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■アベノミクスに日本経済を成長させる力はなかった

 そもそも「アベノミクス」で日本経済は成長しているでしょうか? 

 GDP成長率、実質賃金、どれも「横ばい」がやっとというのが現実ではないでしょうか。それもそのはず。「アベノミクス」にはもともと、日本経済を成長させる力などなかったのです。

 先ほど、「アベノミクスで日銀がじゃんじゃん円を刷った」と言いました。実際、日本円の「総量」とも言うべき「マネタリーベース」は、2022年3月の時点で「662兆円」まで膨らんでいます。「アベノミクス」開始前の2012年12月の時点では「132兆円」でしたので、「激増」しています。

 「マネタリーベース」とは、簡単に言うと「日銀が直接供給するお金」です。その内訳は、「日銀当座預金」と、市中に出回る現金がほとんどです。

 しかし、マネタリーベースが増えても、お金が市中に出回らなければ、意味がありません。その「市中に出回っているお金」は、マネタリーベースではなく、「マネーストック」が該当します。

 その「マネーストック」の推移を見てみると、実はあまり増えていないのです。

■大きな「ツケ」をいま国民が払わされている

 2012年12月に1135兆8000億円だったマネーストック(M3)は、2022年2月には1532兆4000億円と、1.35倍にしかなっていません。「マネタリーベース」が約5倍になっていることを考えると、ほとんど増加していないといっても過言ではありません。

 つまり、日銀がじゃんじゃんお金を刷っても、市中にはほとんど出回っていないのです。

 仰々しいキャッチコピーや、メディア対策によって、「アベノミクス」は世論の圧倒的な支持を集めました。しかし、それはイメージ戦略にすぎなかったのかもしれません。

 一方、いま発生している「円安」と「物価上昇」は、アベノミクスの「ツケ」といっても過言ではありません。

 SNSが発達した現代、さまざまな「情報」が「意図」を持って流されています。そんな中、わたしたちが資産を守り、増やしていくためには、一つひとつの情報が本当に正しいかを、自分の目で確かめることが必要になっていると思います。
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