【斜里】行方不明者を捜索するヘリコプターの音が、前浜にけたたましく響いた―。乗客乗員26人を乗せ23日に遭難した小型観光船「KAZU T(カズワン)」の捜索は24日もオホーツク管内斜里町の知床半島西側沿岸で続き、発見された10人全員の死亡が確認される最悪の事態となった。「息子が乗船していたかもしれない」。不安で胸が締め付けられる思いで現地を訪れた家族は情報の少なさにいらだち、残りの行方不明者の一刻も早い救助を祈った。

 「息子が知床に旅行に来ているとは聞いていたが、連絡をしても電話がつながらない。これはまずいと思ってすぐに来た」。男性は事故が発生した23日に現地に駆け付け、乗船名簿に息子の名前を確認し、斜里町内の施設で不安を抱えながら一夜を過ごした。

 夜通しで続く捜索に男性は「(発見されたのが)息子であってほしい。そうじゃないとも思いたい。冷たい水の中から早く助けてあげたい」と苦しい胸の内を語った。

 現地対策本部が置かれた斜里町役場ウトロ支所には乗客の関係者が駆け付け、役場職員らも慌ただしく出入りした。24日昼には視察で訪れた斉藤鉄夫国土交通相と家族が面会し、支所からは「1分1秒でも早く何とかしてくれ」「26人の命をどう思っているのか」と怒号も漏れた。

(以下有料版で,残り:774文字)

北海道新聞 04/25 07:41 更新
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/673565/