──いったん、しおりを挟みます。

本の街・神田神保町のランドマークとして知られた大型書店「三省堂書店」の神保町本店が、5月8日夜に現店舗での営業を終了した。

三省堂書店は141年にわたってこの場所に店を構えてきた。現在の建物の竣工は1981年。40年が経ち老朽化したことから、同じ場所「千代田区神田神保町1-1」に新たな店舗ビルを建てる。新店舗ができるまでの3年ほどは、近隣の神田小川町に仮店舗を構えて営業する。

当地での営業を終える日、最後の思い出として本を購入する人の姿が多く見られ、午後8時の閉店時刻を過ぎてもレジに並ぶ人が絶えない盛況ぶりだった。

別れを惜しむ多くの人々の中にはスマートフォンやカメラで建物や内装を撮影する姿もあった。

神保町本店の名物「タワー積み」もこの日で見納め。改装前最後にタワー積みされた書籍は外山 滋比古著『思考の整理学』 と、2022年の本屋大賞受賞作にもなった逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』だった。

三省堂書店によると、このタワー積みは2002年9月に村上春樹さんの『海辺のカフカ』発売の際に編み出された陳列方法だという。村上さん8年ぶりの新刊であることをアピールするとともに、店頭に並べる冊数を増やすための工夫だった。考案したのは当時の文芸書担当者。

閉店を控えた直近の日々、店内には「これからも、本というバトンをつなぎつづけます」という三省堂書店の意気込みが随所に見られた。

また、店内には訪れたお客がメッセージを残せる場所も設置された。

「小学生の頃、両親に連れられて来たのがはじめてでした」

「人生初の辞書を買ってからお世話になっています」

「受験生の頃に参考書を買いにきました」

「人生に迷った時、この書店で次の人生の方向が定まりました」

無数に書き綴られたメッセージカードは、時代が変わっても変わらぬ場所にあり続けた神保町本店が、立ち寄った人々の「人生」のワンシーンを見届けてきた場所だったことを伝えているかのようだった。

そんな三省堂書店も、コロナ禍の影響とは無縁ではなかった。2020年4月の「緊急事態宣言」では、神保町本店もおよそ1カ月にわたって休業。ターミナル駅や商業施設の中に構える店舗も、生活様式の変化もあって苦境に立たされているようだ

神保町の現本店舗での営業終了後、午後8時半ごろから正面入口では閉店セレモニーが開かれた。

※続きは元ソースでご覧ください

Business insider Japan May. 09, 2022,11:10 AM
https://www.businessinsider.jp/post-253987