政府が7日の閣議で決める経済財政運営の指針「骨太の方針」に、政府開発援助(ODA)を「拡充する」と明記することが分かった。先月31日に示した原案では「質・内容を充実」と表現していたが、「拡充」に改めることで、ODA予算を増額させる方針を明確にした形だ。複数の政府・自民党関係者が明かした。

政府のODA予算は平成9年にピークとなる1兆1千億円超を計上したが、近年は5千億円台で推移し、今年度は7年ぶりに前年度比で減少に転じた。


政府は「自由で開かれたインド太平洋」を推進し、東南アジア諸国連合(ASEAN)をはじめ各国との関係強化を急ぐが、中国は大規模な資金援助で影響力を強める。ODA予算の増額は、単に途上国を支援するだけでなく、日本の安全保障にとって有利な環境をつくるためにも喫緊の課題となっている。

ただ、政府が先月31日に示した原案は、ODAについて「質・内容共に充実させる」との表現にとどまった。これに対し自民党からは「これでは量(予算)が増えるとは読み込めない。表現を変えるべきだ」と注文がつき、「拡充」が採用された。自民党議員は「これで予算増への道筋が立った」と話す。

政府は途上国支援の在り方を定めた「開発協力大綱」を来年にも改定する方向だ。今回の骨太の方針も踏まえ、ODA予算の大幅な増額を実現できるかが焦点となる。

産経新聞 2022/6/4 19:50
https://www.sankei.com/article/20220604-LPD6TZI5QJJLLEJAT5ETXT2RSI/