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神社界のトップ「神社本庁」で、次期総長が決まらない…5選を狙う「総長」と「統理」の凄まじい確執劇
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無視された「新総長指名書」

 《私、神社本庁統理 鷹司尚武は、(中略)次の者を総長として指名したのでそのことを改めて神社本庁に対し本書にて伝える。

 新総長 芦原髙穂》

 こう書かれた「新総長指名書」が、5月30日に作成され、翌日、神社本庁に手交された。

 全国8万の神社、2万の神職を傘下に治める「神社本庁」は、日本の神社の世界のすべてをおさめる存在といっていい。。

 神社本庁憲章に基づき同庁を代表するのが統理で、神社本庁庁規に基づき宗教法人神社本庁の代表を務めるのが総長である。

 神社本庁は、「権力」を持つ総長がこれを率い、「権威」を持つ統理が象徴的存在として奉られてきた。

 その権力のトップを決める3年に一度の総長選が、さる5月28日の臨時役員会で行われた。

 「総長は、役員会の議を経て、理事のうちから統理が指名する」という神社本庁規第十二条の規定により、鷹司尚武統理によって新総長に指名されたのは、北海道神社庁長(北海道の責任者)で旭川神社宮司の芦原髙穂氏だった。

 これにより、6月4日からは芦原新総長のもと新体制がスタートするはずだった。しかし神社本庁は、その前日の6月3日、その決定に反する文書を全国に送付した。

 その事務処理文書は、荒井実総務部長名で都道府県の神社庁長宛に送られたものだ。《総長及び副総長並びに常務理事二名は、決定に至りませんでした》として、《後任者が就任する時まで、田中恆清理事が総長として在任することになります》というのだ。

 明らかに統理に対する反乱だ。何があったのか。

 「宿舎売却を巡る地位確認訴訟で神社本庁の敗訴が最高裁で確定しました。その責任者である田中総長には4期12年も務めたという多選批判もあり、今回、鷹司統理様は約2時間の活発な審議を経て、芦原さんを指名しました。

 それに対して荒井総務部長は『過半数の議決が必要』と主張。統理様は、『念のため弁護士に確認する』とおっしゃって、臨時役員会は閉会しました。30日の通知書は、統理様が最高裁判事経験者を含む複数の弁護士から話を聞かれた結果、『指名は有効』との結論に達して出されたものです」(出席した役員)

3年前にはじまった確執

 総長選は、すべてが異例だった。たしかに「議を経て(総長を)指名する」のは統理だ。だが従来から、役員会で「統理一任」となるものの、内々で総長は決まっているのが通例だった。統理の指名はある種の「儀式」というべき種類のものだった。だが、今回、鷹司統理は庁規に基づき指名権を発動した。

 実は、鷹司統理と田中総長の確執は、3年前、2019年5月の総長選で明らかになっていた。

 神社本庁の象徴である統理は旧皇族などから選出されることが多い。旧五摂家の鷹司家当主である鷹司統理は上皇の甥である。ただ、家柄だけで選ばれたわけではなく、慶應大学大学院を修了後、NECに入社し、NEC通信システム社長を務めるなどそれなりの社会生活を経ており、そのうえで伊勢神宮大宮司を経て、18年5月、統理に就任した。

 鷹司統理が田中総長に反発したのは、18年9月11日、私物化批判、利権批判を受けて、「本日をもって総長を退任する」とタンカを切っておきながら、10月3日の臨時役員会で続投を宣言したことである。鷹司統理は「上に立つ人間は、言ったことを軽々しく変えてはいけない」と苦言を呈し、以降、2人は袂を分かった。

 田中総長への批判は、右腕として支える打田文博・神道政治連盟会長とともに確立した「田中-打田体制」に対して寄せられた。その最たるものが、百合丘宿舎(川崎市)売却問題である。競争入札ではなく随意契約で売却。業者は即日転売で約3000万円を得たが、それまでにも宿舎売却を独占したほか、神社本庁傘下団体が発行するビジュアル誌『皇室』の直販窓口だった。

 問題は、この業者との「利権癒着」を指摘した幹部職員を馘首、降格処分にし、批判を許さなかったことだろう。前述の地位確認訴訟というのは、処分を受けた2人が不当解雇を訴えたもの。不正を正す裁判ではなかったが、「田中-打田体制」が問われた。

 打田氏は元神社本庁職員。「ヤリ手」として知られ、2000年、静岡県の小国神社宮司に転身するが、政治活動にも力を入れており、神社本庁の政治団体、神道政治連盟で幹事長、会長を務めて中央政界でも知られる存在となった。…
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