体調不良による退陣後も、安倍晋三元首相は衆参94人の党内最大派閥・安倍派(清和政策研究会)のトップとして存在感を発揮していた。
派内での発信力も突出しており、「派閥内にナンバー2はいない」と言われるほど。安倍氏の突然の死に幹部らは結束を唱えているが、後継者を巡り派閥が分裂する可能性もある。

 安倍政権で閣僚も務めた同派の世耕弘成参院幹事長はこの日、「私にとっては兄であり、師匠。苦しい難局を乗り切った思い出がたくさんある」と話した。
選挙戦は9日で最終日を迎えるが「安倍氏のご意志を受け継ぎ、あと1日全力で戦い、良い数字を報告できるよう頑張っていきたい」と述べた。

 福田達夫総務会長は声を詰まらせ「本当に腹立たしいです。安倍元総理が何をしようとしていたかをもう一度見直して、しっかり継ぐべきものを継ぐべきだ」と語った。

 清和会は福田赳夫氏、森喜朗氏、小泉純一郎氏、福田康夫氏、それに安倍氏の5人の首相を輩出。
特に小泉政権以降は、党内で大きな影響力を誇ってきた。安倍氏退陣に伴う総裁選では官房長官として安倍氏を支えた菅義偉氏を支持し後継者に。
菅氏不出馬に伴う昨年の総裁選では、安倍氏は無派閥ながら自身と近いとされる高市早苗政調会長を支持。
高市氏は議員票では本命候補だった河野太郎氏を上回り、安倍氏の影響力の強さを見せつけた。

 安倍派入りを模索する高市氏はこの日、「本当に偉大な国家観を持った政治家。安倍氏の志、思いをしっかりと受け継いで歩み続けていく。それを持って恩返しをしたい」と述べ、安倍氏の政治信条を受け継ぐと表明した。

 ただ派内には下村博文前政調会長、萩生田光一経済産業相、稲田朋美元防衛相ら有力議員がひしめく。
下村氏は「清和研としても状況を見ながら、一致結束してやっていこうと話した」と語った。
参院選後も当面は結束していくとみられるが、24年までに行われる次期総裁選が次のハードル。有力議員間で調整がつかず、派内の意見が割れれば分裂の可能性もある。
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