安倍晋三元首相が凶弾に倒れたことで、岸田文雄首相の後見人と目される麻生太郎・自民党副総裁の存在感が日々増している。
それを象徴する出来事が起きたのは7月28日夜。麻生氏と茂木敏充・党幹事長が都内で極秘会談をしたのだ。

「この日の会談で話し合われた中身は、首相の専権事項で9月上旬に予定されている内閣改造と党役員人事について。会談のポイントは、安倍派に配慮し一定のポストを与える改造で一致したようです。
また、8月の臨時国会での安倍元首相への追悼演説も議題に挙がった。遺族の意向もあり、演説は甘利明氏で調整されていたが、どんでん返しが起きた。
甘利氏は自身のメールマガジンで『(安倍派は)誰一人、力もカリスマ性もない』と発信、安倍派が猛反発した。そのため麻生氏は追悼演説先送りも進言したと聞く」(自民党幹部)

甘利氏の追悼演説は野党も異論を唱えていた。事情はどうあれ、野党の尻馬に乗るような形で最大派閥の安倍派(97人)が同調するのであれば世話はない。

「内部分裂もささやかれる安倍派を尻目に、新キングメーカーに踊り出たのが麻生氏ですよ」(同)

岸田政権発足後から麻生氏には悲願とする2つの野望があった。

「1つは長らく権力闘争でトップの座を安倍派、つまり清和政策研究会(清和会)に牛耳られてきたが、それを宏池会系の手に取り戻すことですよ。
麻生氏が描くのは大宏池会構想。現在、麻生氏が率いている麻生派は、祖父・吉田茂元首相の直系である池田勇人元首相が創設した宏池会が源流。
同じく宏池会を源流とする谷垣グループと宏池会の岸田派を再結集して『大宏池会』にしたい。
そうすれば、最大の安倍派に匹敵する派閥となり、党内のイニシアチブを完全に握れますからね」(麻生派幹部)

■出口の見えない日本経済泥沼化
2000年4月に小渕恵三首相が脳梗塞で倒れ、森喜朗内閣が誕生した。
それからというもの、自民党政権下では麻生氏が首相(08年9月~09年9月)を務めた以外は、
清和会出身者の小泉純一郎氏、福田康夫氏、安倍氏が首相となり長らく権勢を振るってきた。岸田政権下のいま、麻生氏はその流れを宏池会に引き寄せようとしているのだ。

2つ目は、財務省中心の手堅い日本経済の再復活構想だという。

「第2次安倍内閣以降は国家予算が年間約60兆円の税収しかないのに、100兆円を超える支出をし、約40兆円を国債イコール借金に頼る予算を組んできた。
その綻びがここにきて出始めた。安倍元首相が推し進めた『アベノミクス』で景気は一時的に良くなったように見えたが、実質は一部の人たちが潤っただけ。
一般庶民は青息吐息だ。国の借金は膨れ、いまや1200兆円を超え。世界一の借金大国だ。しかも、円安で物価は上がり続け、ウクライナ情勢で燃料代も高騰している。
日本経済は出口が見えないドロ沼にハマりつつある」(財務省関係者)

この財務省関係者に言わせると、借金漬けの日本の財政を少しでも健全な方向にしたいのが財務省主導による財政再建だ。
それを徹底して支援するのが財務相を戦後最長となる8年9カ月も務めた麻生氏だ。

(以下略、全文はソースにて)
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12311-1794805/