【キーウ=共同】米紙ワシントン・ポスト電子版は12日、ロシアが制圧したウクライナ南部ヘルソン州で、ウクライナ軍の奪還作戦が失速していると報じた。ウクライナ軍関係者は、現状では兵器が足りず全面的な反撃は不可能だと指摘。欧米の追加軍事支援が必要だと述べた。

ウクライナ軍はヘルソン州で、ロシア軍が補給路として重視する橋を、米国供与の高機動ロケット砲システム「ハイマース」で攻撃し、通行不能にするなど戦果を上げてきた。ただロシア軍は同州で部隊を増強。1週間で約3千人が到着し、ドニエプル川西岸に駐留するロシア兵は少なくとも1万5千人になった。

10月になると地面がぬかるみ部隊の移動が困難になるため、ウクライナ軍の奪還作戦は時間との闘いにもなっているという。サク国防相顧問は、高性能兵器がなければ無駄に兵士を死なせる恐れがあると述べた。

一方、ウクライナメディアによると、国防省は南部ザポロジエ原発でロシアが新たな挑発行為に及ぼうとしていると発表した。ゼレンスキー大統領は13日のテレビ演説で「わが国や世界全体を脅そうとしている」とロシアを非難した。

日本経済新聞 2022年8月14日 11:45
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB140RY0U2A810C2000000/